京大オケ181st定期演奏会

待ちに待った京都大学交響楽団定期演奏会でございます。風邪で調子悪いとか言ってられないでしょ、これは……。

客演指揮:平井秀明
Vn.ソロ:漆原啓子
シベリウス  カレリア序曲
ブルッフ   ヴァイオリン協奏曲
ラフマニノフ 交響曲第2番

ブルッフはかつて高校の管弦楽団で演奏した思い出の曲だし、ラフマニノフ京響で聞いてはまった曲、シベリウス大好きと三拍子揃って行かないはずがないこの演奏会。
なんの偶然か、以前岡山で漆原啓子さんを聴いた時もブルッフだった気がする。凄い偶然です。
行くのがやや遅かったため席は1階の後ろの方。オケから15メートル以上離れて聴いたのは久しぶりの気がする。しかも上手側。ヴィオラが見にくい……。これで二回連続上手側です。次は下手側を希望してみようか。
そういえば、ヴィオラのトップ奏者が世代交代をしたみたいでした。新トップの方は女性。だからってますますヴィオラパート好きになるとかそう言うことはありません。だって、もう十分ヴィオラ好きなyoshikemですから。

カレリアは、実は組曲と勘違いしていたという罠(恥ずっ)。
あれ? と思いつつ、所々聴いたような旋律が出てきて、そしてダイナミック&テクニカルな、京大オケの実力に裏打ちされた素晴らしい演奏にいつの間にか引き込まれていました。
流石。

ブルッフは実は聴いているとついついヴィオラの音を追ってしまうというこれまた罠。高校一年生でこれを弾いていたわけですが、なんであの時もっと音楽に対してちゃんと向かい合って弾き込まなかったのか、という後悔は未だに根強いですね。あの頃は音符を追うので必死だったんですが……、あとから思えばこんな名曲をもったいなかった。
ともあれ、例のティンパニソロから始まるブルッフの名協奏曲です。
まあ何が一番印象に残ってるかって、そりゃ漆原さんのドレスに決まってますがね! ていうか、あれは無い……。黒赤黄のドイツカラーの三色横ストライプですよ……。うーん、あまり深くコメントしてもなんなのですが、とにかくあれはブルッフの雰囲気じゃなかったですよ……。まあ、音楽家は音で勝負なわけですが。
基本的にちょっとしつこめの演奏でしたね。あちこちで細かく溜をとるから、音楽としてはえっちらおっちら進んでいく感じを受けることもしばしば。けれどもそれが良い伏線になって、歌うところでは思いっきり世界が広がる感じでした。
ただし、第三楽章冒頭は頂けないと思いました。序奏部でヴィオラがかき鳴らす三連符に乗ってヴァイオリンが主題を仄めかし、良いテンポで入ったー! と言うところでややこってりの溜が入ってえっちらおっちら停滞しながら進むスタート。うーん……、そこは音楽が前に進まないといけないと私などは思ってしまうのですが……解釈の問題なんでしょうかねぇ……、とにかくそこはどうにも気に入らなかったわけです。あとは三楽章にある冒頭のテンポからは想像もつかない雄大な風景やラストのプレスト、とても素晴らしい演奏だったんですけどね。
んで、あとヴィオラが良かった。三楽章中盤以降、ヴァイオリンと交互にアルペジオを奏でるところ、目立ちすぎず隠れずソロヴァイオリンに絡む絶妙な自己主張、ヴァイオリン2パートがやや控えめだったのもあり、なんだかヴィオラの渋さがフルに引き出されていた感じがしましたねー。ヴィオラ隊の皆さんGJです!
アンコールにはJ.S.バッハ無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番よりロンド風ガヴォット。なんか歌いまくっていたブルッフとは対照的にはきはきと切れ味の良い演奏だった気がしましたね。これもなんか好みと違う……。

さて、メインディッシュのラフマニノフ
とりあえず前半プログラムでは団員が入ってくる時に誰も拍手をしなくて寂しかったので先頭に立って拍手をしてみる。まあそれはそれ。
とにかく素晴らしいの一言に尽きた感じですね。
以前京響で聴いた時みたいに全身が音の渦に飲み込まれる感覚はなかったんですが、たぶんそれは席によるものも多いかと。今回はオケが遠かったし。
京大オケの分厚い音で奏でられるラフマニノフは必要かつ十分に迫力があり、ひき込まれているうちに次々と楽章が終わってしまい、四楽章が始まる時なんて「あ、もう終楽章か」とすこし残念な感じすらしましたからね。
ところどころのヴィオラの活躍がとっても格好良くて、これがまたほれぼれ。
ラフマニノフの2番って結構ヴィオラが主旋律を持っているところがあるんですね。太い音でホールを堂々と行進していくヴィオラの音色、くはー、たまらん。
終了後の拍手喝采は勿論ですよ。この曲終わり方がとっても格好良いというのもありますし。
指揮者が3回引っ張り出されて、未だ鳴りやまぬ拍手はアンコールの呼び声へと変わり、しかしどう見ても今出て行った様子じゃアンコールをする気配はない。さてどうする? と思っていたら次出てきた時には指揮の平井氏はコンマスのいとぅー氏を連れて出て行っちゃいました。
まあ、割とよくあることだけど。
長いプログラムだったからアンコールしてる余裕無かったんでしょうね。多分片付けの時みなさんかなり急がれたことでしょう。

ホールから出る時に友人のM君と会う。知り合いと会うことは全く予想していなかったのでびっくりでしたねー。
今日行くことが今朝決まったそうです。授業で誘われたんだとか。これを機に京大オケの常連になると良いよ!

そういえば思い出したことがある。私は昔京大オケに憧れていた。
入りたいと言う類の憧れではなく、いつか聴きたいという憧れ。それは多分高校一年の頃、部活にOBで京大オケに入ったS先輩が宣伝に来られた時、我が部の顧問の先生が日本で一二を争う上手いオケだと言っていたので、たぶんそれで聴きたいという憧れを持つに至ったのだと思う。
結局年に二回のみの定期演奏会で岡山から京都まで聴きに来ることも出来ず、部活の忙しさにいつの間にか忘れ去っていたのだけれども、今こうして定期演奏会に足を運び、日本屈指の学生オケのサウンドに浸ることが出来る。
なんと幸せなことだろうか、としみじみ思うわけだ。
京大オケにはこれからも素晴らしい音楽を作っていってもらいたいと思う。多分私にそんなことを言われる筋合いはまるでないと思われるだろうが。