展覧会の絵

エルミタージュ美術館展開催記念コンサート 展覧会の絵と少々長い名をつけられたコンサートですが、行って参りました。
曲目も魅力だし、出演者も魅力的だし、近いし、これらの利点は4000円を払うのに何ら惜しくない! yoshikemの価値基準の中ではそうです。

指揮:西本智実
京都市交響楽団
Vn.Solo:大谷玲子
祝典序曲「1812年」  チャイコフスキー
ヴァイオリン協奏曲 チャイコフスキー
展覧会の絵     ムソルグスキーラヴェル編曲
花のワルツ(アンコール) チャイコフスキー

京響はついこの間定期演奏会を聞いてきたところではあります。実に5日で2回京響を聴いています。こんなことはこの先もそうは無いと思います。
さて、まずは1812年から。
大序曲1812年と呼ばれることもあるこの曲、序曲としてはとても長いし、構成も非常に大きい。楽器に大砲だとか鐘だとかが指定されている、ある種の馬鹿曲ですよね。
生で聴くのは……、一年半ぶりくらいでしょうか。たぶん岡フィルの演奏で一度聴いていると思うのですが。
冒頭でチェロとヴィオラによって奏でられる聖歌がまずたまらないですね。常日頃聴き親しんでいる京響メンバーによるアンサンブル、聴いているだけでうっとりと引き込まれていきました。
中盤ではもちろん金管楽器が魅せてくれましたし、終盤の弦楽器の風のような動きも見事なもの。
本物の鐘や大砲は流石になかったのですが、迫力十分ではありました。
チャイコン、これはもちろんお気に入り。ヴァイオリン協奏曲の中で好きな曲5曲には確実に入ります*1
大谷さんは真っ赤なドレスでの登場。さぞや熱い演奏になるのだろうと演奏前から期待がふくらみました。
肝心の演奏ですが、歌うところはそれなりに(いやらしくない程度に)ねっとりと歌ってはいましたが、其れよりも速く細かいパッセージで飛ぶように演奏していたのが印象に残りましたね。第三楽章なんて羽が生えたかと思うような演奏っぷり。すごいものでした。
全体的に見れば、中の上、といった感じではあったのですが……。あ、そうそう、久々に楽章間での拍手を聴きましたね(苦笑)。
さて、メインディッシュは「展覧会の絵」ですね。僕はこの曲の冒頭はピアノで聴くよりトランペットのすっと伸びる音で来る方がしっくり来ますね。ピアノ版よりオケ版に親しんでいるんですよね、何ともいえないことに。
いやはや、しかし流石京響は魅せてくれます。プロムナードの金管アンサンブルはもちろんのこと、全体的に厚みのある音で展覧会の絵を次々と見せてくれる。あたかも「大エルミタージュ展」へと誘うかのようでしたね。
僕は展覧会の絵では終曲「キエフの大門」が一番好きなんです。鐘が鳴り響き、全オーケストラが力の限り響き尽くす。その音に圧倒される。あの音の津波と申しましょうか、終演へ向けて収めると言うよりはむしろ新たな世界への扉を開き私たちをそこへ放り込むかのごとき旋律。最高です。
もちろん今日の演奏も申し分ない迫力、音色で、惜しみのない拍手を送らせていただきました。
その拍手に答えたのが花のワルツ。京響は普段アンコールをしないので、意外に思いましたが。最後までロシア尽くし、いい演奏会でした。

指揮者の西本智実さん、かっこういい方ですね。燕尾服をビシッと着こなして颯爽と指揮台へ歩いていく姿、「格好いい」という言葉以外では言い表せないというかなんというか。
今まで、映像を一回見たことがある程度の方だったのですが、ファンになりましたね。また京都で演奏会をされる際には行こうと思っています。
その一方で、京響はちょっと気になる点がいくつか。
まあ基本的にはうまかったんだからいいんですけど、顔になじみのある首席奏者がいなかったりするパートもあってちょっと寂しかったかなとか。
今日のコンマスはニキティンさんだったんですけど*2、渡邊さんはいなかったし。フルートの主席の人もいなかったし。なんだったんだか……。

*1:シベリウスチャイコフスキードヴォルザークブラームスブルッフあたりでしょうかねぇ

*2:京響コンマスは二本柱でやってます