京都フィロムジカ管弦楽団第21回定期演奏会〜ブラームスの1番

1月末に行って、次回はブラームスの1番となると行くしかない! と思っていた京都フィロムジカ管弦楽団定期演奏会です。
私が好きな交響曲を3つ挙げるとすれば、ブラームスの1番、ドヴォルザークの8番、マーラーの1番なんですが、この三つのうちブラームスだけは今まで生で聴く機会がなかったのです。今回はそれもあり、楽しみがいつものよりもUPUPUP!
天気の悪さも気にならないうきうき加減でした。

早めに行ったので1315時よりからのプレコンサートにも無事間に合い、初めから色々堪能させていただきました。

プレコンサート

ヘンデルパッサカリアは実は大好きな曲だったり。以前たまたま借りたチェンバロのCDに入っていたのが妙にツボで、割とループで聴いていた時期がありました。それが今回はヴァイオリンとヴィオラの二重奏に編曲されていて、食指が動かないわけがない。互いに追いかけるように代わる代わる旋律を奏でるヴァイオリンとヴィオラ、流れるようなバロックの空気。原曲がチェンバロという弦と鍵盤の中間みたいな楽器なだけに原曲の雰囲気とも大差ない、素晴らしい響きでした。
ベルワルドもとても楽しくて、聴いていてひきこまれましたね。私はシンプルに楽しい曲が好きです。なのでラーツは今ひとつ苦手だったかも……。
ワーグナーはホルン8重奏で、迫力は凄かったのですが、やっぱり弦をやっていた人間としては弦の方に大いに興味がそそられるので、あまり興味が惹かれなかったのは事実です。

京都フィロムジカ管弦楽団
指揮:中村晃
ベルワルド シンフォニー・セリューズ(交響曲第1番)
ブラームス 交響曲第1番ハ短調

忘れていたこと。このオーケストラは1342の順で弦が並ぶから、ヴィオラを見やすい位置というのは通常と異なり上手寄りになると言うこと。中央やや下手寄りに陣取ったので、ヴィオラの正面とはならなかったのですが、まあソレは仕方がない。
ベルワルドのシンフォニーは、まあそこそこに楽しい曲、と言ったところだったかなという感じです。
知らない曲にはなかなか何も言えない、貧相な人間ですので……。
ベルワルドという作曲家すらそもそも知らないのですが、前期ロマン派の作曲家でやや後期ロマン派の傾向も見られる、スウェーデンの作曲家だそうです。日本での知名度は低くても故国での知名度は抜群の作曲家だそうで、ストックホルムにはベルワルド・ホールなるホールもあるそうです。
因みに、今日の演奏が日本初演である可能性が高いらしいです。
とっつきにくい感じの曲じゃなかったし、CDを色々当たってみるのも面白いかなとは思って居るんですが。

本命は飽くまでブラームス。この演奏を楽しみにわざわざ右京区くんだりまでバスで出かけるという七面倒なことをしたのですから。
まず最初に一言で感想を言っておくと、ブラボー!
演奏会であそこまで心底感動したのは久しぶりかもしれない……。いや、毎回京響は本当に感動の連続ではあるんですが……、あの興奮はコバケンの幻想以来かも。
第一楽章、私の好みはねっとりとしつこいくらいに重々しく弾くのなんですが、今日の京フィロは割とテンポ良く、さらりと前奏を入るという形でのスタートでした。こういうのもいいな、と思いながらすぐに音楽の世界に引き込まれる、そう言う演奏だと思いました。ブラームス交響曲第1番が持つ重々しさをそのままに、音楽は前に進む感じで、楽団員の若さが前面に出てきた感じですかね。
第2,3楽章も歌うべきところは歌い、Vnソロも決まり、しっとりだったり楽しくだったり、全くこちらを飽きさせない素晴らしい演奏でした。
けれども、やっぱり一番衝撃がきたのは第4楽章でしたね。
メリハリが凄い。
私は結構ねっとりした演奏が好きで、要するに音楽の世界で言うところの「溜め」が好きなんですよ。溜めがあれば勿論その後は巻いた方が迫力が出るわけで、今回の演奏はそれがまさに私の好みのツボ通りにきていた、という感じでしたかね。
第4楽章の見せ場で一瞬踏みとどまってぐぐっと興奮を盛り上げて、その後急転直下のごとくテンポアップしての演奏、これは確かな実力が無ければ出来るものではありませんよね。お陰で4楽章の苦悩と歓喜がそれぞれ両極端に際だって、迫力も並々ならぬものになっていた気がしました。
あとは、4楽章と言えば弦楽器による歓喜の歌。ヴィオラの下降形対旋律。正直言ってこれが聴きたくて仕方がなかったんですが、ヴァイオリンの主旋律に負けない厚みのある音が響いてきて、痺れた〜! やっぱヴィオラはこうでなくっちゃ。他にも見せ場で太い音を響かせるヴィオラ、これぞヴィオラ、ヴィヴァヴィオラ
興奮高まるところでは指揮者の指揮棒が指揮台に当たってカツンといい音がしたりもしましたが、それもライブの良さってことで、演奏後は割れんばかりの拍手!
とにかく、ブラームスの演奏は素晴らしかったの一言に尽きるんです。
アンコール曲としては大人しいくも可愛い感じの短い曲が演奏され(曲名知らない)、ブラームスで最高潮まで高まったテンションが無理なく収められた、とても素晴らしいプログラムでした。

そんな演奏されたら寄付の一つもしたくなるってもんでして……。
次回、12月の演奏会では山田耕筰交響曲ヘ長調なるものをやるらしいんですが、楽譜レンタル料が法外にふっかけられているらしくて、寄付金を募っていたんですね。
山田耕筰に興味は、無くはないんですがまあそこそこくらい。けれども、こんな素晴らしい演奏をしてくれるオケがお金みたいなつまらない理由で曲目変更を余儀なくされるなんて辛いじゃないですか。
実際、会場が長岡京記念文化会館で日付が12/24で、行くかどうかは微妙なんですが、まあ寄付だけとりあえずしてきました。
うん、京響のA席で聴いたと思えばそんなもんだし。
京都フィロムジカ管弦楽団、前に聴いた時にも思ったことですが、惜しむらくは客が少ないこと。
素晴らしい演奏をしているのに、右京ふれあい文化会館のホール(700名くらい?)が半分くらいしか埋まっていない状況。
良い演奏の上値段も非常にリーズナブル(なんと平均1000円弱!)、こんな素晴らしいオケ、行かない手はないと思うんですよね。
地元岡山にも岡山交響楽団と言って良い演奏をする割に客入りが今ひとつのオケがあります。そういうところが盛況になるにはどうすれば良いんでしょうかね?
もっとみんなクラシックを聴いて、楽しみを共有しましょうよ!