仕事になるのはどんなことか

科学の世界で、とりあえずやればそれなりに業界に打ち出せる仕事になることっていうと。

  1. 今まで誰も思いつかなかったこと
  2. 面倒で誰もしてないこと

なのかなぁと思います。
地道に緻密に成果を溜めて、堅実に理論付けで仕事を挙げるってのは、勿論あるんでしょうけれども。
でもって、前者がそうそう簡単なことでないし、そもそもセレンディピティはたゆまぬ努力に恋をするものである以上は、きっちりと地道に何かを積み上げていくことが成果につながっていくんだと、それは間違いない事実。
きっちり成果を上げる為には、きっちり準備もしないとね。
そういうわけで、今日はめんどくさくもめんどくさい、SEMの標準試料測定でございました。
SEM。走査型電子顕微鏡というのは、我々岩石学者がもっとも頼りにする武器の一つです。RPGの武器で言うと剣。現代岩石学は電子顕微鏡抜きにしてはそうそう仕事は出来ないと、僕は認識しております。
詳しい理論は省くのですが、電子顕微鏡は対象の組成を定量的に測定することが出来ます。
が、この定量方法というのはあくまで最初から組成が確定している標準試料との比較となります。
つまり純粋MgOと分かっているものがこういう数値を出すからこの未知試料のMgO量はこれくらい、という具合。
となれば、定量測定には標準試料のデータの確かさがダイレクトに効いてくるわけです。
あとデータの確かさは経年変化の影響をもろに受けるので定期的にデータの取り直しをするべきであったりします。
因みに今のデータは去年の10月に取ったもので、2月の段階では既に怪しいということがなんとなく分かっていた。
いや……、だって……、出てくる値が確実におかしかったもん。
検出器が汚れてきたんでしょうね……。
2月の段階では割と酷くて、その頃から僕は標準試料のデータ取り直しをしたいなぁと思いつつ先輩にやり方を訊ねるとか色々アプローチしてきて、ようやく再測定に踏み込めました。
卒論が一段落ついてさあ仕事しよう−! と思った矢先に測定機器の基本データがイマイチってのは……正直萎えた。うん、萎えた。
それも二月のこと。
あふぅ。
ここまで時間掛かったなぁ。
でも……、標準試料のデータ取り直しは普通に時間かかるから……。
今日は授業が1コマ、去年お世話になった四年生部屋の什器入れ替えが1コマ分相当ありまして時間自体あんまりとれてないというのもあるのですが……、午前中から準備込みで4元素分しかデータがとれなかった……。
今のやり方はよく使う大切な元素の測定と言うこともあって結構精密に取っているのです。
おかげで1元素につき1時間……。
明日も続くぜ!
うぅ……、マニアックな元素は少し簡略化しようかなぁ……。