京都フィロムジカ管弦楽団定期演奏会

全く名前も何にも知らなかったんですけど、昨年末の京響定期でビラを見て、「音詩『巨人』」というのに興味を覚えていって見ました。
行ってパンフレットを見てみると、団員紹介に「Bratsche」とか書いてるじゃないですか。他にも楽器名が全部ドイツ語です。故にコンマスがKonzertmeisterコンサートマイスターになってました。なんか格好良いって思うのは気のせい?
開演前にはロビーコンサートがあって、ジャック・イベールという人の木管五重奏の行進曲と、ベートーベンの七重奏曲を聴きました。結構期待の膨らむ巧さでした〜♪
若い方が多いんですよね、ロビーコンサートでも。そもそも弦五部の首席奏者は皆大学生かそこらくらいの若さで、エネルギーあふれる感じ。プロオケと大学オケの丁度中間くらいの年代の人が多くて、なんか見ていて応援したくなるようなオーケストラという印象を持ちました。

指揮 金子建志
伊福部昭 交響譚詩
マーラー 音詩「巨人」

まず伊福部昭から。勿論全く知らない曲でした。日本の(と言うか日本に限らず)現代作曲家にはあまり興味のない年頃です。しかし、伊福部昭と言えばゴジラの音楽の作曲者、らしいですね。これもパンフを読むまで全然知らなかったんですが。
最近は聴く機会もめっきり無くなった気もしますが、ゴジラの重々しいテーマはまさにあの映画にぴったりで、然も耳に残る名曲だと思うわけです。あれが口ずさめない日本人は少ないでしょう。
そんな作曲家の曲なんですから、どことなく期待も膨らみました。
格好良かったです。
第1譚詩(二曲の組曲の内第一曲)はアップテンポで息つく間もない様な曲でした。西欧の音楽とは確かに何かが違う、どこか日本を感じさせる切なさを持っている曲でした。なんか鬼が狂ったように踊ってそうな感じがした、とかいうと笑われますかね。
第2譚詩はしっとりとした感じで、コールアングレが旋律を歌うような曲。曰く西洋の楽器で日本の旋律を演奏するには吹き方に工夫が要るとかで、……成る程確かにどこか尺八を思わせる「しゃくり」であるとか、そう言ったものを含む音になってました。
ともかく、休憩までのこの交響譚詩で既に僕は引き込まれていましたね、京都フィロムジカの世界に。


そして問題の「音詩『巨人』」。ハンブルク初演稿と言うことになるらしいです。指揮者の金子さんは音楽研究をされている方で、マーラー交響曲についても啓蒙書を出されているとか。今度興味がわいたら買ってみようかとも思っているのですがそれはまた別の話として。
確かに、彼方此方違うみたいですね。違うところも何カ所かピックアップしてパンフレットに書かれていたんですけど、まあ最たるは「花の章」でしょうね。
金管が柔らかな旋律を奏でる花の章、僕は好きです。一楽章の大迫力の終焉のあと、弦の上で金管が踊る様子がまさに花のような煌びやかさを持っていて、とても素敵だと思いました。交響曲第1番に無いのが残念です。
他にも例えば第一楽章の序盤にクラリネットが持っているところがもともとはホルンだったとか、色々違いがあるみたいですけど、基本的には「巨人」は「巨人」でした*1
四楽章のラストでホルン8人起立一斉掃奏が無かったんですよね、そう言えば。そもそもホルンが4人というのが音詩『巨人』であるらしく、立てとの指示もない。しかしそれで迫力が足りないかというと全然そんなことはない。案外交響曲の方が力入れ過ぎなのかも、とか思ってしまいました。そして最後の伸ばしが長いっていうのが吃驚ですね。はい、長く伸ばして非常に格好良かったです。

いやはや、珍しいものを聴かせて頂きました。当然の流れで友の会に入会してきました。だって、次ブラームスの1番だし、絶対行くし、それに年間1口千円だったら支援したいって思うじゃないですか。
残念なのは客の入りが今ひとつだったことですかね。京都コンサートホールの半分くらいしか埋まってない(下手すると半分以下)というのは、実力に対して集客が少なくて勿体ない気がしました。丁度一昨年岡山交響楽団を聴いて感じたのと似ています。奇しくもその時の曲目も巨人でしたね、そう言えば。
実力のあるオケが面白いことをやっている。なのに客が居ない。これほど勿体ないこともないですよね……。京都フィロムジカ管弦楽団、これから応援していきたいオーケストラですよ。
因みに京都フィロムジカ管弦楽団HPはこちら。

そう言えば、今日初めて1st,Va.,Vc.,2ndという並びを見ました。途中まで2ndとVaの位置が普段と入れ替わってるのに気付かないという間抜けをやらかしました。
あれもドイツ流なんですかね? また今度暇があったら調べてみよう。京響が12VcVaの並びだからそれが最近一番馴染んでるんですが(京大オケもコレ)、そう言えば昨日の阪大は久しぶりに12VaVcでした。
まあ、余談です。

*1:というのは非常に日本的な言い方なんでしょうね。日本では交響曲第1番より「巨人」の方が親しまれてるから。