ソードワールド2.0シナリオ「ザントリー商会の陰謀」

というわけで先日やったシナリオです。
次のシナリオへのフックになってますが、これ単品でも充分成立する話ではある感じで。
ソードワールド2.0シナリオ「ザントリー商会の陰謀」

想定PC Lv.3〜5のPC 4〜5人
ルルブ範囲I-III
原則真偽判定禁止

Location

城塞都市ディザ〜麦穂の浮き船
テラスティア大陸北部 ザルツ地方のほぼ真ん中に位置する城塞都市
この地方を統括する ルキスラ帝国 に所属している
ルキスラ帝国の帝都ルキスラからは、徒歩で一日半ほど南下したところにある
神への階から注ぐローラ川とオッド山脈から流れてくるナルア川の合流点に位置しており、豊富な水と穏やかな気候に支えられた 穀倉地帯
「秋のディザには黄金色の海が広がる」と言われているとか。
街中は平均的な都市国家として整備されているが、郊外へ行けば一面に広がる畑の中をただただまっすぐ道が延びている、と言う有様。麦と米の中に都市が浮かんでいると揶揄されることもある。
主な作物は米と麦。ご飯とパンの値段は他の都市よりも安く、美味しい
公用語はザルツ語
人口7000人〜豊かな実りの影響か、人口の多い街


最も主要な宗教は太陽神ティダン(豊穣の神)。第二勢力が親玉の始祖神ライフォス。第三勢力として酒幸神サカロス(人と人との交流を説き商売繁盛の神として崇められている)
→ルーフェリアも最近広まってきている(水は重要だから)

冒険者の店

〈金の麦穂亭〉
店主:イルメン・シュナイダー(エルフ・350歳)
 銀髪を短めにまとめた、見た目壮年のおっちゃんエルフ。荒っぽい口調。元商人兼ファイター
 〈大破局〉の際にルキスラを守った勇者たちに武器を斡旋したのは自分だ、と吹聴しているそうだが真偽のほどは不明。
 料理は上手く、得意料理はローラ川でとれた新鮮な魚の蒸し焼き。
 冒険者たちに食料を斡旋する時の口癖は「ディザの飯は干し飯まで旨い」


今回のセッションはザントリー商会のナスターシャから半ば挑戦の様な感じで受けるもの(勿論PCは断れるのだけれども)。パーティのモチベーションなどを見つつ軽く持ちかければ導入は簡単か。
今回のセッションでは新規参入のPCがいるので、合流のパターンを二通り考える。

1.PCも普通に冒険者の店にいる状態で、店主イルメンの誘いやPC同士の会話の流れで合流させる。
2.PCはナスターシャの使いとして〈金麦亭〉に依頼を持ってくる。適任であるPCを連れてナスターシャの元へと行き、その後PC達の見張りとしてミッションに参加する。

どちらでも良いので新規参入PCのPLと相談。



NPC

ナスターシャ・ザントリー(エルヴンナイトメア、♀・180歳)
気さくなナイトメアの女性で、元冒険者、現ザントリー商会ディザ支店の支店長。
一応ソーサラー11、セージ11相当所持。
エルフの兄、モルト・ザントリーがルキスラにいる。
ザントリー商会は金麦亭のスポンサーで、主な商品の仕入れ先。イルメンが昔ナスターシャに惚れていたこともあって彼は頭が上がらない。


「やあ、君たちがイルメンの言ってた新人君達だね? うちがナスターシャさ。長いからなっちゃんで良いよ。みんなそう呼んでる」
「その場合は、ウチの使い魔のこの子を連れてって貰うよ。誤魔化しは効かないからよろしくねん」
「そうそう。話が分かる人って好きやわ。お兄さんの言う通り! 君たちがしっかりしてればがっぽがっぽ。そうやなかったらウチががっぽがっぽ。簡単やろ?」


{導入}

ディザの街は穀倉地帯として豊かに発展していて、人が活気づいていることもあり商業も盛んになってきている。
そんなディザの〈金の麦穂亭〉、通称〈金麦亭〉に身を置く冒険者達、これは彼らの物語である。
と言う具合にイントロをして、まずは全員に軽くメタな視点でPCの自己紹介をして貰う。


(パターン1)

金麦亭でPLが仕事待ちの状態でスタート。PLが顔なじみなのでイルメンさんは安心して奥で昼の仕込み中。
店の戸を開いて元気の良い声が入ってくる。「やー、我が友イルメン、元気にしてたかい? って、ありゃ、いないのか」
入ってきたのは女性。肌の色が青ざめていてナイトメアかもしれない。商人のような出で立ち。
・女性は依頼の掲示板の所に行って依頼書を貼って帰って行く
・或いはPCたちを品定めするように眺めて話を持ちかけても良い(以下こちらで続く)


「やあやあ、君たち見たところ冒険者みたいだけど、今暇?」
「いやー、実は今ここに一枚の依頼書があってですね、こいつを引き受けてくれる勇気ある冒険者の人を探していた所なんだよ」
「どうだい? 決して悪い話ではないと思うんだけど」
「とにかく、検討してみてくれないかい? 受けるのが嫌なら我が友イルメンに渡してくれれば良いからさ。じゃ、私はそういうことで」
と、女性は依頼書をPC達の前に置くとそのまま去っていく。


依頼内容:求む! 勇気ある冒険者
依頼主:ナスターシャ・ザントリー(ザントリー商会)
報酬:内容如何
「詳細はザントリー商会ナスターシャまで」



ザントリー商会について知りたいなら
知識判定 セージ+知力B≧ 8
ルキスラ帝国で1,2を争う巨大商会。穀物と酒の取り扱いで起業したのだが、今や扱っているものはゆりかごから墓場まで。ディザにも大きな支店があり、〈金麦亭〉のスポンサーであることも分かる。PL達が持ってるコップとかにも密かにロゴが……。
大体PC達が依頼書の中身に目を通した頃に、奥からイルメンが出てくる。
依頼のことを話したら露骨に顔をしかめる「またあいつか……」
依頼のことを訊ねるのなら答えは「信用は出来るし、場合によってはぼろ儲けも出来るんだが……」
「金麦亭にたまに持ってくる依頼で、詳しい内容は口止めされているから言えない。ただし、巧くやれば儲けは馬鹿みたいに良い筈だ」
「もっとも、俺はそんなに大勝ちするヤツを見たことはねえ。ああ、とは言え最低ラインの金は出るはずだぜ」


ザントリー商会について訊ねられたら「この店の大口のスポンサーで、仕入れ先」だとのこと。
「なんつーか……、あそこの店主には頭があがらんのだ。いや、悪いヤツじゃねえんだが」
「まあ、悪い話を持ってくるヤツじゃねえから、そこんとこは安心していいぜ」


一行が依頼を受けるなら{ザントリー商会にて(1)}へ



(パターン2)

例えば新規参入のPCがいる場合や、或いは初セッションでPC達がパーティを組んでいない状態なら、PCの一人をナスターシャの使いとしてスタートしても良い。
使いのPCへは次のような文書を印刷して渡す、などして演じて貰う。。

貴方(PC)は用心棒や商人見習いとしてザントリー商会に一時的に身を置いている冒険者です。ナスターシャと個人的に仲も良く、しばしばお使いを頼まれることもあります。
今回もお使いを頼まれて〈金麦亭〉にやってきました。お使いの内容は依頼書を「金麦亭に掲示してくること」または「依頼を受けてくれる冒険者を見つけて連れてくること」。
依頼書の内容について、貴方は詳しくは知りません。他のPC達がその場で依頼を受けるのであれば、貴方の案内の元に一行はザントリーへ向かいます。そうでないなら貴方は一度ザントリー商会に戻るか店内で適当な人が見つかるのを待つことになります。
なお、このセッションが終わった後「他のPC達が気に入った」などの理由でザントリー商会を去る旨をナスターシャに伝え、PCのパーティの一員として冒険を続けることは可能です。

上述の通り、ザントリー商会のお使いは基本的に非正規雇用の一時的なもの。セッション終了時にはフリーになっても構いません(或いはザントリーに身を置いたまま他のPC達とも関係を保って一緒に冒険する、としても構いません)。


お使いが入ってくるとイルメンが応じます「おう、お前さん確かザントリーの……」
お使いPCが依頼書を掲示するか、それとも適当な冒険者を見つけてお使いPCが話を持ちかけるのかは自由です。他のPCが即諾してお使いPCと共にザントリー商会へ向かうなら、{ザントリー商会にて(1)}へ。適当な人が見つかるまで店内で待つなら、PCが依頼を受諾すると言った時点で彼らと{ザントリー商会にて(1)}へ。
いずれでもないならお使いPCは一度ザントリー商会へ戻ってください。後でナスターシャが監視役として他のPCと同行させる様計らいます。


他のPC達がお使いPCと共にザントリー商会に向かわなかった場合は店主イルメンが儲け話として店内で暇をもてあましていたPC達に持ちかける。「おまえら……、儲かる話があるんだが」
「儲かることは間違いない。依頼主は俺の知ってる奴だが、自分だけが得するような話を持ってくるヤツじゃねえ。そこは保障しよう」
「依頼主はザントリー商会。このあたりじゃ指折りの商会だし……、お前さん達がコネを作ってても損はないな。いずれ紹介しようとは思ってたんだが……」
「正直、依頼主が苦手なんで俺はこいつをさっさと誰かにカタして欲しいわけだ」




{ザントリー商会にて(1)}

ザントリー商会へやってくる。お使いPCがいない場合は依頼書を紹介状代わりに使う。
話を訊くとすぐにナスターシャに取り次いでくれる。
「やあ、自分らが今回の賭けに乗ってくれる冒険者たちだね? ようこそ、当商館へ。うちがここの主のナスターシャ・ザントリー。なっちゃんでええよ。ところで飴ちゃん食べる?」
「やあ、お帰り、お使いPCちゃん。ご苦労様やったね。飴ちゃん食べる? ふむふむ。人を連れてきたと言うことは……、この人達が今回賭けに参加してくれる人たちなんやね。あ、うちがナスターシャ・ザントリーね。なっちゃんって呼んでくれたらええよ。飴ちゃん食べる?」
などなど。ナスターシャが気さくな人物であることを印象づける出会い。(パターン1)からなら、ナスターシャが自ら依頼書を持ってきていたことに対して何らかのアクションがあるかも。「これはうちの趣味みたいなモンやからね。あんまり商会のみんなに頼みとうはないんよ」(商館の主自ら依頼書を持っていったことについて、など)


「さて、ほんなら今回のお仕事の内容を説明しようと思うんやけど、自分らもう参加ってことでおっけー?」
「ん、まあ別に話し聞いてからでもかめへんけど、多分お得やし受けてくれるんちゃうかな?」
「ほな、説明するね。最初に言っておくと、今回の依頼にこれといった報酬は無いから」
「まあまあ、報酬がないって言うのは無償ってことちゃうくて、話聞いてくれたらわかるし聞いてえな」
と、いう具合でお喋りしながら今回の仕事の内容を説明。


内容:遺跡でのアイテム探索@狼の巣
獲得したアイテムは「原則として全てザントリー商会で買い取る」価格は何であろうと一律500G
但し、PCが宝物鑑定に成功している場合は
A.一般流通価格で買い取る
B.PCが自分たちのものとする
ということも出来る。さらに、「PCがガラクタと判断したもの」でも商会は500Gで買い取る。
つまりは、PCがしっかりと「物の価値」を見極めれば、ガラクタを高値で売りさばき、高級品を手元に置くことが出来る。
また、遺跡内でモンスターから得た戦利品もこれに当てはめて良い。
以降、「鑑定値」という値が鑑定の目標値。古い遺跡のアイテムであるため鑑定は困難で、多く知名度より大きな値となっている。


「ようするに、これはうちと自分らの賭けみたいなもんやね。自分らの『ものを見る目』っちゅーやつが試されるよって、あんじょう頑張っておくんなせ」
「普通に遺跡の情報を情報屋から買うんを考えると、随分お得やと思うよ?」←強調した方が良い
「そうやね。だから……、一人頭2000G儲けようと思ったら、16個なんかを拾ってくればええ、ってことやね」


ダンジョン:狼の巣
ディザから東に歩いて一日程度のところ、山岳地帯に見つかった遺跡。遺跡自体は昔から知られていたのだが、最近情報屋が地下への入り口を発見した。まだ誰も挑戦していないダンジョンの可能性大。
魔法文明デュランディル時代の遺跡と言われている。最近ザントリーと繋がりのある情報屋が発見してきた遺跡で、入り口に狼の姿のような彫り物があったことからそう呼ばれている。
遺跡のある辺りには魔神伝説がある。この情報は「知識判定≧12」orプレイヤーからの質問で提示。


不正防止のためにパターン1ならファミリアIIで作った猫が、パターン2ならお使いPCが同行する。
それから、特別にポーション類を二割引で購入することが出来る。既に購入済みのものに関しては差分を計上しても良い。
「うーん、今回の遺跡、かなりやばいものが眠っているような気がするんよね。そこで、太っ腹なうちはなんとポーション類を……2割引で売って上げましょう! これ以上はまからへんよ」
「ほな、そういうことで頑張ってきてねー。まあ期限は……そうやね、最大で一週間くらいかな。その間ならいつ帰ってきてくれてもかめへんよ。最終的にうちんとこへ持ってきてくれればおっけー」
↑PC達が街へ引き返して休養、とかも可。一週間を過ぎたのなら買い取り額が8掛け、などの罰則を付ける。


概ね問題なく進めば、この時点で大体お昼前くらいとする。〈狼の巣〉へは今から出発して途中で一泊すれば、明日の朝9時頃には着く。ということでスキップして翌日(2日目)9時にスキップして良い。

{狼の巣にて}

ごつごつとした岸壁が広がる山岳地帯、その中に一カ所不自然に口を開けた入り口がある。入り口は精緻な作りの飾りで装飾されており、見るからに自然のものではない。門に当たる部分の上部には狼が走っているシルエットに見えるものが彫られている。


入り口には特に仕掛けはない。
入り口付近の床に、最近掘削されたような跡があり、そこが地下への入り口。
入り口から奥へはいると、拓けた空間があり壁に壁画がある。麦の畑に身を埋めて気持ちよさそうに眠っている巨大な狼の姿が描かれている。見識判定を行うことが出来る。
見識判定 セージ+知力≧13
壁画に描かれている狼はディザ近辺の村で民間信仰されている豊穣の神。
小神と呼ばれるほどの神格は得ておらず、それ故に宗派もない。
厳密には神と言っていいかも不明。魔神の類なのかも知れない。
今では昔話に語られるだけで忘れられつつある存在。


地下に降りるなら、ダンジョン探索が開始される。

B1


☆1居間:15m四方ほどある広めの部屋
生活家具が一通り整えられている。ただし、その家具は小さい。丁度身長130cm前後の人が使えばピッタリそう。
もともとグラスランナー向きに誂えられたもの、という設定。PCがあまり突っ込まないなら明かさなくて良い。
部屋の中央に石造りテーブル1、椅子2,寝台1、隅に食器棚1,本棚1がある。
探索を行う場合は「テーブルの辺り」「寝台の辺り」「棚の辺り」のどこを探すかを決めさせる。
机と寝台はもはや骨董品と呼べるレベルでボロボロ。材質は陶器のような感じ。神紀文明の不思議テクノロジーかもしれない。棚類はもう少し新しめに見える。
食器棚と本棚はデックチェストトラップ(II275)。不用心に近づいたものは危険感知判定(目標値15)を行う。用心の度合いによってボーナス修正可。センスマジックで反応アリ。


戦闘:デックチェストトラップ×2
配置は隅の方。危険感知に失敗したPCはモンスターの近く。また不意打ち扱い。
戦利品を修正「2-5無し、6-9硬い木材(鑑定値10価値200G)、10-黒檀風木材(鑑定値13価値600G)」


勝利後、戦利品漁りと同時に感知判定を行う。
感知判定 スカウト/レンジャー+知力B(タビット不可)≧12
但し、戦利品漁りでダイスを振っているキャラは「−2」のペナルティ修正
判定成功なら、部屋の右奥から伸びている通路の方から何か「きぃきぃ」という甲高い声が聞こえる。
魔神語or妖魔語が分かるのなら「すげー、あいつらを倒しちまったよ」と言っていると判る。
そちらを見れば、褐色の蝙蝠みたいな羽が通路の奥に消えていくのが辛うじて見える。感知に成功したPCのみインプの「魔物知識判定(目標値12)」を行うが、チラリとしか見えていないのでペナルティ「−1」。他のPCが伝聞で知識判定をするならペナルティ「−2」となる。
感知に失敗したら何も気付かない。


デックチェストトラップを倒したあと「戦利品漁りの出目が7以上」だったら、本棚だった方のチェストトラップの近くに新しめのノートが一冊落ちているのに気付く。
ノートは自由帳のような体裁で、中には落書きのような絵で「角の生えた二本足の何か」の絵が描かれていた。子供の落書きのようで、詳細までは分からない。この時点で魔物知識判定を行うならグルネル(14/19)の判定をペナルティ−2で行う。
更にノートには魔法文明語で「みんなで頑張ってようやくあいつを封じ込められた。これでオラも安心して歌える。けど、暫くはここで様子を見てた方が良いかも……」と書かれている。
更にめくると「大丈夫っぽいし、色々作るのも飽きたからここにいるのやーめたっと」と書かれている。


探索判定 スカウト+知力B≧7,13
7以上なら、デックチェストトラップの出目に関係なく「ノート」を見つける
13以上なら更に食器棚があったところが少し壁の作りが変わっていることが分かる。更に、壁の上の方には半径30cmくらいの穴が空いている。

壁の様子の異なる部分は薄くて壊せそう。壊すのならLV+筋力≧15。助走を付けて殴りかかるならボーナス+2。但し、壊れた後罠部屋の穴にそのまま落ちる。
隠し扉の向こうは「罠部屋」


☆2右の通路
(下から)
Aの部屋の右奥にある通路は、少し進むとすぐ左へと折れて、きつめの上り坂が10mほど伸びている。
探索判定をしながら進むのなら目標値10で通路の中程にスイッチがあるのに気付く。スイッチは注意すれば跨いで行ける。
スイッチを踏むと罠発動
罠感知判定 スカウト+敏捷≧ 14 
成功したなら回避判定に+2のボーナス修正
引き続き、岩が転がってくるのでそれの回避する。横に避けるor真っ直ぐ下に駆け下りて避ける。
岩回避判定 回避力 ≧12
回避失敗なら「威力20+5」の打撃点を受ける(クリティカル無し)
転がっていった岩はつきあたりの壁にぶつかってAの部屋とを繋ぐ通路にはまり、通行不能に。
ブロッキングを持っているキャラは冒険者LV+筋力 ≧13で判定し、成功したら食い止めてその隙に他のPCは無事に躱せる。失敗しても他のキャラは躱せるが、食い止めにチャレンジしたPCは「威力30+10」点の打撃点を受ける(クリティカル無し)。
食い止めた後の岩は、坂の下へ転がすしかない。やっぱり通路にはまって道をふさいでしまう。


☆3小部屋
1の居間から来たのなら、入り口から細い足場が壁沿いに伸びていて、他の部分は下の階へと続く穴になっている。壊した壁の部分は、元々扉が開いていたものを塞いだような感じの崩れ方。下の階へと続く穴の壁も何かを無理矢理削り取ったような跡がある。
足場の端に手のひらサイズの箱があるので回収出来る。古びた箱(ジャックインザボックス、鑑定値16、III160)。
GMは箱が「手のひらサイズである」ことと「そのままでもアイテムとして引き取って貰えるはずである」ことを伝える。振って中に何か入ってそうか訊ねられたら「特に音はしないのだが中身は詰まってそうな感じ」と答える。
・開けるならジャックインボックスとして処理する→1d
1=リガークア(II276)、2=グルガーン(II273)、3=バリンガー(II275)
4=ガーウィ(I366)、5=なし、6=2d×2000G
・足場の上で開けたのなら出てきたモンスターは階下へ。2d+防護点で落下ダメージを軽減して入れる。PCが落ちてるなら戦闘開始。PCが降りてくるまでに時間があれば、アザービーストにより破壊されてしまう。
・開けた後、箱は古かったのか自動的に壊れてしまう。
・階下で戦闘をする場合→2ラウンド経過でアザービーストが駆けつけてくる


穴に落ちたのなら、穴の高さは10mで30点の落下ダメージ。LV+敏捷で受身判定。更に防護点有効。




☆4ティダンの間
床にティダンの聖印が大きく描かれている部屋。10m四方弱。決して広くはない。
遺跡の入り口側の壁には魔法陣が描かれている。
魔法陣はティダンの神聖魔法による施錠。アンロックするなら目標値20
・アンロック成功→扉が開いて階下に降りられる。
・PC達がアンロックに失敗→インプがやってくる。〈インプとの接触
インプの魔物知識は12/15
インプ側から戦闘を仕掛ける気配はない。
「なあなあ、兄ちゃんたち何しにここに来たんだ?」
「俺っちはここに住んでるしがない大魔神だぜ」
「兄ちゃん達を冒険者と見込んでお願いがあるんだ。俺っちの親分を助けてくれねえか?」
インプの話
インプの親分というのは、昔この辺りに住んでいた魔神。魔神と言ってもここに住む人族とは仲が良く、豊穣の神として崇められているくらいだった。しかし、ある時ティダンの神官とグラスランナーが村を訪れた。二人によって魔神は邪教認定。封印されることとなってしまった。親分はこの下の階に閉じこめられているから助けてやってくれないか、と。
助けてくれるのなら、インプは最初の部屋にある隠し扉へとPCを案内する。食器棚のあったところの壁が薄くなっていることが分かる。


☆5机のある部屋
Aの部屋から左へ行くと机のある部屋に出る。中央には四角形の、妙に尖った柱がある。
机を探索するなら、スカウト+知力≧13で引き出しの中にすすけた石(鑑定値13、消魔の守護石HP5分III161)が入っていたことが分かる。


☆6階段
通る度に1dを振る。初めて1or2を振ったPCは足下で「カチリ」と何かの音がするのを聞く。
・PCがすぐに足をどけるなら、階段は即座につるつるの坂に早変わりし、PC階段を上っていたPCは皆滑り落ちる
・PCが足をどけないのなら、他のPCは安全に階段を移動出来る。ただしスイッチを踏んだPCは足をどけた瞬間滑り落ちる
滑り落ちたPCは机のある部屋の柱にぶつかるように出来ており、回避判定(目標値8)に失敗すれば「威力20+3」のダメージを受ける。
以降階段は滑りやすい急坂として扱い、登攀判定(目標値13)に失敗すれば落下する。
ロープで吊り上げる場合は、ロープ長5m。代表者のLV+拘わるPC全員の筋力ボーナスで計算して良い。


☆7落書きの部屋
壁には色々な落書きがしてある。
人のようなのが二人並んで立っていて、その横に狼が立っている。
二人と一体に相対する形で人型の角の生えた何かが立っており、剣を構えている。


感知判定 スカウト/レンジャー+知力 ≧11
成功したPCは物陰からの視線を感じる。視線はティダンの間の方向から。
追いかけるなら、ティダンの間で〈インプ〉と接触


☆8倉庫
武器が無造作に沢山置かれている。その殆どはぼろぼろで使い物になりそうにない。
探索判定(目標値12)に成功するとなんとなくマシそうな武器が見つかる。あと腕輪(鑑定値15、マナリング10000G、II149)
1,2=斧:ヘビーアックス(440G)
3,4=剣:バスタードソード(560G)
5,6=銃:ジェザイル(1200G)
武器は宝物鑑定判定で、鑑定値10で「その武器が使い物になること(=PCが使って良い)」、鑑定値15で「魔法の武器であること」が分かる。


☆9階段の間
魔法の鍵を解除出来たら階段の間に出る。丸い部屋で、床の中央は透けていて下から明るい光が漏れている。
階段はB2の階段に続いている。
帰り道に通る場合、魔法の鍵はティダンの書を持っていれば解錠される。


※B1の全ての部屋をPCが探索し終えた場合、適当なタイミングでインプからPCに接触する。☆4の「ティダンの間」でのインプの行動を参照。





B2

☆B2部屋1
他の部屋へ続いている入り口が二つと階段が一つある。
小部屋の穴から降りた時、静かにおりた場合(ロープなどを使う)、何も起きない。金属鎧で飛び降りるなど大きな音がしうる状況ならアザービースト×3がやってくる。
聞き耳判定を行うなら、11で入り口の向こうからうろうろしているような足音が聞こえてくる。ただし、足音はこちらへ来る様子はない。
ジャックインザボックスで階下にモンスターを墜とした場合。
1.PCが下にいない場合:モンスターが起動して1分程度経過するとアザービースト×3がやって来てモンスターを破壊する。残骸を漁るのは可。
2.PCがしたにいる場合:モンスターとの戦闘になる。2ラウンド経過後さらにアザービースト×3もやってくる。アザービーストはPCとモンスターをランダムに攻撃する。


☆B2部屋2
広い部屋の中央に眩しい光球がある。部屋の広さは30m四方くらい。かなりの広さ。
階段が一つ、上の階へ向かって伸びている様だ。


(インプがいる時)
インプは光の玉の中に親分が閉じこめられていることを訴える。あの魔法を解除してやってくれと。
(インプがいない場合)
ただ場所の描写が為されるだけ。

階段を上っていくと、丸い部屋に出る。床の中央部には穴が空いていて、下の階の光で明るく照らされている。正面には扉があるが、穴を落ちてきた場合鍵が掛かっている。

光の玉については
魔法知識判定 セージor魔法使い系技能LV+知力≧10
成功ならティダンの特殊神聖魔法【デイブレイク】であるらしいということが分かる。ただし、デイブレイクは普通なら効果時間3時間。インプが言うような長い時間継続しているはずはない。
周りを見回せば、部屋の四隅には上の階で見たようなティダンの聖印が描かれている。どうやらこの部屋全体が一つの魔導装置として働いているらしい。
部屋の奥には台座と、その上でふわふわと浮かんでいる一枚の書(スクロール)。見た目羊皮紙。なんか色々書かれてて若干光ってる。
そして、その書を取り囲むように3体のモンスターがいるのが見える。PC達には背を向けている。
PCたちには見覚えがあるかもしれない。ノートの落書きを見ているのなら、それと似ていることが分かる。
光の玉は半径5m程度の遮蔽として働く。不意打ちをする場合、光の玉の陰に隠れて接近するのなら+1のボーナス判定を与えても良い。


アザービーストML5
外見は筋骨隆々の男っぽくて頭には角、尻には尻尾。見た目モンスター。剣を持っている。
知名度12/16 先制12 移動速度10 精神抵抗力5(12) 生命抵抗力5(12)
攻撃方法 武器 命中7(14) 打撃点2d+5 回避6(13) 防護点5 HP35 MP16
戦利品 2-8=魔神の武器(鑑定値10、50G) 9-=魔力を帯びた角(鑑定値15、700G)
特殊能力
●全力攻撃
打撃点を+4 次は回避が-2


アザービーストを倒してスクロールをその場から取り去るなら、その時点でデイブレイクの魔力が弱まって辺りに鈍い振動。
光の玉から真っ黒の影が染み出してくると、それが人型をとる。漆黒のそれは二本足の獣。ちょうど先ほど倒したアザービーストを強化したような感じの外観。但し影のみ。その手には剣を一本持っている。剣は今回はエレメンタルブレイド。PCの中に武器習熟剣を持っているものがいるなら斬鉄剣でも面白いかも。
剣に対しては宝物鑑定判定を行える。エレメンタルブレイド15、斬鉄剣21
あと、インプも本性を現して参戦。

ボスキャラ:グルネル・シルエット(グルネルII298の劣化版)ML7欠片3つ(胴3尾3)
知性:低 五感(暗視) 魔神語・魔法文明語
知名度13/17 先制14 移動速度15 精神抵抗力10(17) 生命抵抗力10(17)
戦利品:自動=魔剣(鑑定値15、エレメンタルブレイド、12000G)
武器(胴体) 命中9(16) 打撃2d+8 回避8(15) 防護点6 HP63 MP63
尻尾(尻尾) 命中9(16) 打撃2d+6 回避7(14) 防護点3 HP35 MP24
部位数2 コア=胴体
特殊能力
●胴体
「真語魔法、神聖魔法6レベル/魔力8(14)」
「魔法適性」《魔法拡大/数》《魔法誘導》
「魔力撃」打撃点が8点上昇→回避・生命&精神抵抗に−1
●尻尾
「絡め取り」攻撃が命中→放置なら尻尾の攻撃が自動命中、命中&回避−2。引きはがし刃LV+筋力≧当たった命中力


インプ(ルールブックIII)
知能:人間並み 五感(暗視) 妖魔語・魔神語・魔法文明語
戦利品:2-7=魔神の血(鑑定値12、200G)、8-=アンクレット(誓いのアンクレット、鑑定値12、3000G)
知名度12/15 先制値9 移動速度10/10(飛行) 精神抵抗3(10)  生命抵抗4(11)
尻尾 命中3(10) 打撃2d+3 回避4(11) 防護点2 HP16 MP28
特殊能力
「神聖魔法2レベル/魔力4(11)」ラーリスのマナシンクが使える
「麻痺毒/3(10)/生命抵抗力/消滅」尻尾でダメージを与えた相手。18ラウンド回避-2。毒属性
「飛行」近接攻撃の命中・回避+1


(PCたちが書を手に取らない時)
インプがいる状態で書を取らないならインプが詰め寄るので理由説明が必要。説明が納得いかないならインプが光球に攻撃。ガタが来ていたのか光球が震えだして、弾ける。
インプがいない時(orインプを殺しちゃう時)は階段に足をかけたくらいで光球が振るえ出して、弾ける。弾ける処理をした後でインプが現れて、「うひょー、ラッキー。封印が弱まってたのか?」みたいなことを言う。
光球が弾ける時、「威力20」の純エネルギー魔法ダメージを受ける。精神抵抗13で半減。
しかし、出てきたグルネルはやはり影のような状態でしかない、グルネル・シルエットと同じに扱う。
インプは「ボス、もしかして長年の封印で力が弱まっちまったんですか?」
グルネルぷちキレモード「がー!」


グルネル・シルエット撃破後、PC達が書を取ったパターンなら残された光球が震え出す。
書を持っている者が「魔法文明語」を扱えるならセージor魔法使い技能+知力≧14で判定をし成功した場合【デイブレイク】解除キーワード「シュルス」に気づける。それを唱えると光球は分解消滅。
解除キーワードを唱えなかった場合、光球が爆発し「威力20」の純エネルギー魔法ダメージを受ける。精神抵抗13で半減。
爆発した後には何も残らない。完膚無きまでに消滅してしまったらしい。


帰り道、鍵の掛かっている扉は書を持っていることで開く。






引き

見識判定(目標値12)に成功したら「何かティダンに拘わるもの」だということが分かる。価値は不明。目標値17で成功したら骨董品として価値10000ガメルはあるだろうことが分かる。
→次のセッションのフック
→ナスターシャが引き取る。見識判定(12)に成功していたら1000Gで買い取ってくれる。


かつてあの辺りを荒らして回っていた魔神が、豊穣の神とその神官によって封印されたという逸話が残っている。グルネルは恐らくそれだったのだろう。
PCたちは名誉アイテム〈コネクション/ナスターシャ〉を得る。ザントリー商会のある都市で魔法の武器を購入する時に2割引。
「いやー、今回もがっぽり儲けさせてもろたわ。自分らみたいに物の価値が分かってないのんに持たせてたってしゃーないもんな。ほな、またよろしゅう!」



アイテムリスト

・ティダンの書(スクロール):鑑定1=1,000G 鑑定2=10,000G
・魔剣(エレメンタルブレイド):鑑定=12,000G
・アンクレット(誓いのアンクレット):鑑定=3,000G
・魔神の血:鑑定=200G
・魔神の武器:鑑定=50G
・魔力を帯びた角:鑑定=700G
・斧(ヘビーアックス+1):鑑定1=220G 鑑定2=5220G
・両手剣(バスタードソード+1):鑑定1=280G 鑑定2=5280G
・長銃(ジェザイル+1):鑑定1=600G 鑑定2=5600G
・古びた腕輪(マナリング):鑑定=10,000G
・すすけた石(消魔の守護石HP5):鑑定=2500G
・古びた箱(ジャックインザボックス):鑑定=10,000G
・堅い木材:鑑定=200G
・黒檀風木材:鑑定=600G



真相について。

真相は、グルネルが悪い魔神で、それをティダンの神官とグラスランナー、あと狼の神様っぽい存在が封印していた、というもの。
経験点については、PC達がB2へ降りずに退散してしまった場合は1000点。グルネル・シルエットを倒した場合には1200点とする。



またぼちぼち補足するかも知れません。