MAMA
- 作者: 紅玉いづき,カラス
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2008/02/10
- メディア: 文庫
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紅玉いづきさんの作品、MAMAを今更ながらに読んでみました。ミミズクと夜の王の衝撃(?)は今思い出しても鮮烈ではあるのですが、やはりこの人は独特の良い世界を出してくれますね。
うーん……、なんというか、大人向けの童話? 「大人」向け「童」話と言う時点で酷く矛盾してはいるのですが、そう言う雰囲気がピタリ。或いは大人も楽しめる児童文学の系統。萩原規子やたつみや章あたりと近いのかなぁとも思いますね。
そう言う考え方をすると、ライトノベルというラベルを取り払う可能性のある作家の一人、と言う捉え方も出来るわけですか。
〆
物語は剣と魔法のある世界、ガーダルシアという王国で繰り広げられる一人の女の子と一人の魔物の話です。
孤独の扱いがとても繊細で、自然に中に入っていく事が出来、気がつけば結末まで一直線という感じでしたかね。
この物語には結末は存在するけれど、クライマックスというものは特にない。それもなんというか、ラノベの典型から外れているところなんでしょうね。
結末で心がふわりと温まるところなどは、やはり大人の童話といって差し支えないかと。
途中の流れは幾分ご都合主義になっていたり、細かい描写がばっさりと省略されていたりとはありますが、それでも臨場感のある物語が展開されていたように思います。
流石、というか、憧れる、というか、なんというか読後感「ぽけー」
後ろ2/3の「AND」の方はまだ読んでいないので、今晩にでも。
テスト前って本を読みたくなりますよね!]
〆
ANDまで結局読み切ってしまいました。
追撃。まさに追撃。
MAMAで誰もが納得したであろう結末を、別の物語の脇役として語る。
うーん、書き方としてくどくもなく、ごく自然に受け入れられて、こういう書き方って良いなぁと憧れてしまいます。
あとがきに紅玉さんがこんな事を書いておられました。
物語が書きたくなるような物語、を書いていけたら、と思っています。(MAMA P.281)
また、あとがきはこう締めくくられています。
いつかはじまる、誰かの物語のために。
私も、次の物語を書くことにします。(同)
格好良いー……。
紅玉さんはきっと生粋のストーリーテラーですね。
自然とわき上がってくるこの衝動、どうしたものか。