更に「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会中間まとめ」に関する意見を出してみた

日曜の私的録音録画に関する意見(通称ダウンロード違法化問題)に引き続き、著作権分科会法制問題小委員会中間まとめに関する意見も出してみました。
今回のは今後テレビ番組を中心に色々な著作物がインターネット上でデジタルコンテンツとして利用されていくことが見込まれる中、特に海賊版の拡大防止なんかについてどのような法整備が必要かという話し合い……で多分合ってるかな。
以前からちょくちょく話題になっていた「著作権非親告罪化」という問題を話し合ってる話し合いです。
一応、現状中間報告では「現在親告罪とされている著作権と周辺権利への侵害を非親告罪化しても海賊版防止には大して役に立たないのでは」とかの実務的な問題もあるし、一律に非親告罪することは不適当ということになったようです。とはいえ、重大・悪質な著作権侵害に関しては現在の法体制を見直して対応すると言う指摘もある為、今後社会に与える影響などを見て慎重に検討することになったということ。
一応、「著作権など一部の権利は非親告罪化するべきではない」という意見を出しました。多分著作権とか、みんなが「非親告罪化するべきではない」って言ってる権利の多くは、中間まとめで言われている「一律に非親告罪化することは不適当」の中で不適当とされている権利だと思うんですけどね。まあ、反対意見を送るばかりがパブリックコメントというわけでもないでしょうから、そう言う意見を出しました。
こちらも〆切は15日まで。どちらかというとダウンロード違法化の方が問題としては深刻ですね。こちらは一応「慎重な検討」をしてくれるらしいですし。というわけで、まだパブコメ出してない人は、出来るだけ私的録音録画に関する方、出しましょう!(数が問題ではない。けれども意見を提出することは決して無意味じゃない!)
ついでに、今回凄く役に立ったソフトの紹介。PDFの表示がAdobeさんの比じゃなく速い超便利ソフト:Foxit Reader(http://www.forest.impress.co.jp/lib/offc/print/docviewer/foxitreader.html)。読む機能だけならフリーソフトで、かなりオススメです。
でもって、ダウンロード違法化に関しては日曜日の僕のエントリ他を参照してください。


で、以下僕が出した「親告罪の範囲について」のパブコメ。スタンスは「著作権非親告罪化は文化発展に著しく有害である」というもの。念頭にあるのは同人誌文化と創作の原点。

個人/団体の別:個人
氏名:よしけむ
住所:京都府京都市左京区****
該当ページおよび項目名:18ページ〜、第2節「海賊版の拡大防止のための措置について」の「2 親告罪の範囲の見直しについて」について
意見:
中間報告に於いて慎重に検討するべきだとされた「親告罪の範囲」だが、今後海賊版の拡大防止の為に何らかの法制度整備は必要となるかも知れないが、「著作権、出版権又は著作隣接権に対する侵害」及び「著作者人格権又は実演家人格権に対する侵害」は決して非親告罪とするべきではないと考える。
その理由は以下の3点。


1.これらの権利はあくまで私権であり、権利者以外が判断を行うことは不適当であると考えられる。何か二次的な創作がなされた時に、その二次創作物が原作の持つ権利を侵害しているかどうかの判断は創作者、つまり権利者のみが行えるものであるはずである。なぜならその判断は、原作の創作理念にそぐうか反するか、など創作者しか真に知り得ない所に関わるからだ。逆に言えば権利者以外の第三者による判断はいかようにでも誤謬を含む可能性を持っており、それに正しく対応するのは法制度的に不可能となるだろう。


2.パロディ文化が盛んである日本文化のことを考えると、上述の罪を非親告罪化することは「文化の発展に寄与する」という著作権法の理念に反する。特に昨今のアニメーション産業などではコンテンツユーザーによる二次的な創作などによって作品がより一層振興され、その盛り上がりが原作に対してフィードバックされ、文化振興が進むという状況が数多く見られる。今後インターネット上での文化発展がより一層進むと予想される中、ユーザーが二次的な創作者となって作品を一層振興させていく状況はますます増えることが容易に予想される。そして、それが権利者の利益に繋がるというケースが増えていくと考えられる。それら二次創作が権利者の権利を何らかの形で侵害している(例えば作品のイメージを著しく損なうなど)場合は、権利者が告発すれば済むことであるし、逆に権利者がより一層の作品の振興や利益の向上、宣伝効果などを見込んで二次的な創作に関して不問にしているのなら、それを国家又は第三者による告発で罪に問うことは不適当であり認められるべきではない。


3.そもそも全ての創作というのは何らかの模倣の発展でしかない。原作と、模倣的な新創作物との間に何らかの同一性を認めるか否かは、原作創作者のみが行えるべきである。これが非親告罪化によって衆人監視の元で「誰もがオリジナルと認めるような創作物」しか認められないような世の中となれば、創作者が創作物を世に出すことは極めて困難となり、文化の発展に著しく有害である。となるとやはり「文化の発展に寄与する」という著作権法の理念に反する為、著作権非親告罪化されるべきではない。


以上3点。


今後も権利者とコンテンツユーザーの双方にとって良い結果を生むよう、慎重に検討していただきたいと願う。