大文字山と大国屋とセイバーズ

夕陽と言うには今ひとつ高い夕方の太陽
昨日から山へ登りたいというようなことは言っていたのだけれども、昼過ぎから森見登美彦山月記を読んで登りたい気持ちが一層に高まり、結局夕方も五時を回った頃から銀閣寺の裏へと赴いた。
哲学の道の桜も桜色と若草色が半々に混じり始め、いよいよ桜餅の色合いとなってきたと言うことは要するに花の季節は終わりに近づいているということである。
そんな桜を横目に見ながら今年も結局満開の哲学の道を歩くことはなかったと思うのだがそこには決して悔しさはない。どうせ地元に住んでいるのだから来年往けばよい。そう思いながら結局往かずに京都を離れるだろうことは想像に難くない。
春の良い頃合い、それも夕方夕陽を見に登る者も居るような頃合いだった為だろうか、なんとなくアベックが目に付いた。とりあえず火床前の段差に腰掛けて仲良く毛布にくるまっている様はいかがなものかと思われる。寒い時期でもあるまいに、きちんと服装を考えれば済む話である。
そんな不愉快な光景はさておいて、やはり大文字山より眺める京都の光景は値千金だろうと思われる。汗をたらして登ってきたところで弘法大師堂の前に腰掛ける。そうしてやや強い春風を感じながら眼下に京大以下日頃通る街、通らない街を見下ろすと、心がそのまま飛んでいきそうな気分になる。勿論飛び降りるようなことはしないし、第一崖ではないので飛び降りることの効果には疑問が残る。火床の階段を転げ落ちたら死ぬことは出来そうだが。

別に自殺願望はない。
帰りには半ば気まぐれで大国屋へ寄る。大国屋牛乳が安かった。とても良いことである。その他、夕食に揚げ物を食べたくなったので総菜コーナーで買い、更にはセイバーズによって168円と特価がついていたシスコーンビッグを合計5箱購入した。これで当分朝食は牛乳さえ用意しておけば何とかなる。いや、ご飯も炊くが。

結局大文字山から眺める夜景も、夕陽も見なかったのだが、今日はそれで満足である。なにせ大文字山に登ったのも久しぶり。実にひと月半ぶりだろうか。とりあえず、小手調べから再開すればよい。
またいずれ、夕陽を見に、或いは夜景を見に登ることもあるだろう。それには気温がもう少し上がってからの方が望ましい気がする。そう言うことにしておこう。