ハワイ幽霊城の謎

ハワイ幽霊城の謎 (講談社青い鳥文庫)

ハワイ幽霊城の謎 (講談社青い鳥文庫)

夏の本ですね。遅いですね。ツッコミ無用と言うことで。
名探偵夢水清志郎事件ノートの最新刊……、の筈です、現時点でも。
夢水清志郎夢水清志郎左右衛門の二つの話を読むことが出来るこの本はオトクだなぁ、と思ってしまったyoshikemです。
……その分謎の要素は薄目って感じはしましたが、でも亜衣とレーチのラブコメ要素や中村巧之介苦労人談義などもきちっとあったので、面白さ十二分でしたよ。
続・大江戸編とでも言うべきか、夢水清志郎左右衛門の話は清志郎左右衛門と巧之介さんがハワイに行き着いてそこでちょっとしたトラブルを解決する話です。丁度時代的に日系移民がハワイに行った時代の話で、そこで現地の人と行ったやりとりなどが描かれています。
そして一方、現代の三姉妹+夢水清志郎の話は、ハワイから依頼が舞い込むところから始まります。清志郎左右衛門の話とリンクして、ハワイの日系移民の間には事件が起きた時の言葉として「Why Didn't They Ask YUMEMIZU?」という言葉があるとかで、教授のことを知ったハワイの大財閥の御曹司が教授の下に幽霊事件の解決を依頼しに来るというもの。
青い鳥文庫の常という感じで主要登場人物は最初のページに列挙されているのですが、その誰をとってみてもどうにも犯人ぽくない感じ(まあミステリーであからさまに犯人ぽい人がいたら大抵ミスディレクションでしょけど……;)で、そもそも誰にも何も動機が見あたらないし、時間も数十年というスケールに跨る事件ですし、犯人像が全く浮かばない、そんな事件なんです(解決してみれば「成る程」なんですけどね)。
今回はいつも以上に「名探偵の仕事はみんなが幸せになるように事件を解決すること」が強調されていましたね。……あ、それって外伝だからでしょうか(本作は作者曰く外伝、大江戸編と同じ括り)。
いずれにしても、不思議と心が温まる話でした。
あ、そういえば、あの人が出てくるなんて予想外。いや、確かに依然二人は二度も戦ってますけれど……。それに今回の話では全然触れられていない伏線がありますし。と言うわけでSide-Bを激しく期待。いつ出るのかなー?