透明ポーラーベア

I love you

I love you

恋愛アンソロジー「I LOVE YOU」収録の、伊坂幸太郎さんの短編、透明ポーラーベア。
読後感は、ほわぁ、と言う感じですね。
伊坂さん独特の仕込みと柔らかな感じの文体で、人と人との繋がりの不思議さを感じさせてくれる小説でした。
シロクマ好きの姉を軸に僕と僕の姉の元彼氏の再会と姉の彼氏にまつわる幾つかのエピソード。
恋愛って不思議だなって、思わせてくれます。
あんなにも好きで付き合っていたのに人と別れる心情、僕には良く分からないものなのですが……、他人から見たらさっぱり分からないその理不尽さにどこか納得がいってなかったんでしょうね、主人公の「僕」は。
けれど、恋愛はきっとシロクマの毛の色をしていて、嘘を付けない。理不尽でも自分の気持ちがそうなっちゃったものは仕方ない、って言うのが答え。そこまで読むと深読みのしすぎでしょうか?
ともあれ、僕はこの小説を読んで、今、確かに小さな身震いを感じています。