椿山課長の七日間

原作を最初に目にしたのは朝日新聞の連載小説として。
なんか怪しげな雰囲気の挿絵に目がとまり、初めて読んだシーンは椿山課長が和山椿として転生した直後、「貴重な時間を自分を見るのに使ってしまった」と愕然となる辺りのシーンだったと思います。


映画化されるにあたってかなりストーリーが書き換えられてますね。
まあ、もともとのストーリーはラストが三つのバラバラのラストだったんで、非常に映画化しにくくはあったんでしょうけど。
とりあえず、伊藤美咲に最後まで所々男言葉を使わせたのは良かったのか悪かったのか。ああでもしないと確かに中身が椿山和昭だと言うことがわかりにくくなるかも知れないけど、原作では言葉の修正パッチ(?)があったハズなんですけどね。
全体的に、大幅な改変が功を奏してか映画としてのまとまりはとても良くなってますね。
椿山課長の逆送が許可された理由が冤罪でなく「重大な事実を知らないまま死んだのが可哀想だから」というのも、なんだかハートフルだし、椿山課長がごくごく普通の一般人である感じもより一層出てますし。
ただ、ラストの改変は、どーなんだろう。まるまる容認は出来ないかなと言う感じ。
最後はお爺ちゃんの見せ所なのに、それがまるまるカット。完全なご都合主義に走っちゃってましたね。あそこでお爺ちゃんが合流する理由も分からないし。
隠れ主役とも言うべきお爺ちゃんが蓮子編で大分活躍の場を減らされているから、どうにもならなかったんだろうけど。


総論。
志田未来が可愛かったです(オイ)。
改め。
死ぬのが恐くなくなるっていう売り込みでしたけど、僕はむしろ死ぬのが恐くなったかもしれない。
逆送の厳しい審査とか、冷静に考え直してみるとこの「天国」の制度は実は非常に厳しい。現に映画内でも逆送希望者は七十名ほどいたのに、そのうち三名しか逆送されていない。
しかも、それできちんと未練をはらせるかどうかは微妙。何より「伝えたかったこと」を伝えるのは至難の業と思える。
うーん、そんなやるせない状況が待ってるとなると、死ぬのは無茶苦茶恐いな。