訪れしもの

コンコン、
人のそれというにはあまりにも頼りないノックの音が聞こえた。
誰か。こんな時間に訪ねてくるアテはないが……、よもや妖の類か?


戸を開けてみればそこにいたのは、勿論妖怪等ではなく、一匹の猫でした。
白と黒のツートンカラー。首輪の鈴がチリンと鳴った。
さてはソーセージを焼いているにおいにでも惹かれたか。
猫は嫌いではないが好きでもない。
変に懐かれても欝陶しいので無視を決め込むのでした。