終末のフール

終末のフール

伊坂幸太郎の終末のフール、積読になってたのですが、思い立って読む。
もちろん世界の終末というのが到底想像のつく事態ではない。混乱するのか諦観するのか、いっそ自ら破滅するのか。
伊坂ワールドでは、小惑星によってもたらされる地球の破滅が報道された直後は確かに酷い混乱があったが、五年の歳月がたち結局は小康状態になっている、という世界が描かれている。
人は案外終末を前にしても普通に生きられるのかもしれない、そんな気持ちになる。
あるいは「どうせ死んじゃうんだから」というくらいのほうが本音で生きれていいのかもしれない、などと思ってしまった。


8つのエピソードの中でも気に入ったのは「冬眠のガール」。
世界の終末を前にした恋愛、今の僕らの恋愛と何か違うというのか。
期限付きのほうがいっそ充実した恋愛をできるのかもしれないなぁ、なんて不謹慎にも考えてしまった。
結局、人は目の前の幸せを見ることができれば幸せになれるんだろうな。