ディベート語り-4→メリットあれこれ(2)

定量的なメリットと対比するものと言えば定性的なメリット。
ディベートで立論を考えてると、ついつい妄想が膨らんで「こんな事も起きそうだ!」という吃驚メリットを作ってしまいませんか?
勿論、量の面で立証が難しい普通のメリットのほうが多いですが。

定性的なメリット

発生過程よりも重要性にウェイトが掛かってくる、そんなメリットが定性的なメリットですね。
同様に道州制を見てみるなら、上の例のように「黒字」まで踏み込まずに、「経済を効率化できることが重要なのだ」と主張するメリットにすると、これは明らかに定性的なメリットになります。
定性的なメリットを立てる場合には、証拠資料はあるにこしたことはありませんが、発生過程を順を追って論理的に正しく導くことが重要となります。
道州制→行政単位にあった行政権限→行政の効率化→経済の効率化」のように順を追って、誰でも納得できるような発生過程を述べる、そうすると守る際にも守りやすく、発生過程はなかなか潰れにくくなります。
そうすると今度は重要性の話になり、これが重要なのかそれとも重要でないのかというのが鍵になるわけです。
定性的な議論に置いては「具体的な量が示されていないので重要ではありません」という反駁が予想されますがそれは対して有効とはなりません。何故なら、具体的な量がない場合そのメリットは「重要でない」のではなく「重要かどうか解らない」だけでしかないからです。そこをきちんと説明し、再度出来事としては確かに起こることを発生過程に触れながら反駁すれば、メリットとしては基本的に残ります。
また、この手のメリットに反駁する際に否定側が陥ってしまいそうな陥穽に「カウンタープラン」もありますよね。反駁として「別なことをすれば同様の効果が得られるので……、」みたいなことを言ってしまえばそれはカウンタープランとなり、ディベート甲子園では無効になっちゃうんですよね。なのでうっかりやっちゃわないように注意。但し、現状維持のままで発動が予想される政策をもって同様の効果が得られることを述べる等はアリです。
では、攻め方を考えてみましょうか。
定性的なメリットを攻めるときには当然その重要性を潰してしまうことが重要です。「たとえ発生したとしてもこの重要性は重要ではありません」と言ってしまえば勝ちなんですよね。
一番楽なのは現状維持の未来と比較して、このままでもそう遠くない未来に同様のことが起きるから、重要ではないと言ってしまう。或いは現状で十分だから必要ないと言ってしまう。そんなところでしょうか。
例えば、道州制の例に戻りましょうか、現在三位一体改革の中で地方財政の立て直しが進められていますよね。ですから、現在でも行政の効率化が進められています。なのでメリットはそれと大差ないことしか起こらないので重要ではないと。
そんな感じの議論はアリですよね。あと、定性的な問題とは少しずれるんですが、相手が論理的な発生過程を持ち出してきた場合はターンアラウンドをとるのも一つの手ですね。
発生過程をまるまる認めて、かつその発生過程から生じる別のデメリットをつつく。上手くやらないと「新しい議論」ととられてしまって議論が無効にされてしまうんですが、しかし全く同じ発生過程で別のデメリットを導き出して相殺してしまうというのは一つの作戦としてはアリです。なにせ、否定側はメリットをゼロにしてしまえば(議論がイーブンになってしまえば)、勝ちですからね。
「行政の効率化→公務員の失業」なんかは簡単に取り出せるターンですよね。中国地区ではあまりターンを見なかったんですけど、手っ取り早く相手の議論をつぶせる上に上手くすればこちらの武器が増えるというターンアラウンドというテクニックは非常に重要なものと僕は考えます。