ラッシュライフ

伊坂幸太郎さんのラッシュライフを読みました。
作家になる技術で伊坂さんの名前を見て気になっていたんですけど、本屋で偶々平積みを見かけてこりゃ買うのも運命か、と思いまして。
でもってヴィヴァ運命！
メッチャ面白かった。
他の伊坂作品もがんがん購入して読みたくなる面白さというか、単純に言うと嵌った。
いくつもの（具体的には5つの）ストーリーが平行して語られていくんですが、その時間軸がずらされているというのにまんまと騙されて、そのことが明かされた時には凄く吃驚しましたね。
同時に色々なことの符合に合点がいったというか。
前半は読んでいて結構面白いんだけど謎だらけで、一瞬これは小野不由美の屍鬼みたいに普通のミステリーと見せかけて異世界要素を含んでいるのか、とか思ったんですが、むしろ逆。
非現実的要素をいくつか見せつけておきながら最後にはそれらに合点のいく謎解きを見せてくれて、納得がいくという、現実の小説でした。
全く関係のないところで起きている話が交錯して、また別々に分かれてゆくというのは、読んでいて凄く緊張感があります。
どきどきの中で話が集約されていって、どこがピークなのか気に掛けながら読んでいるウチに話はまたほぐれて行っている、あの感覚はなかなか言葉に出来ません。
その過程で初めの方からあちこちにちりばめられていた伏線が鮮やかに回収されていって、最後には他の物語との関連もありそうな余韻を持たせて物語は幕を閉じます。
伊坂文学に嵌りましたね、これで。
良い出会いでした。