夢の島

夢の島 (講談社文芸文庫)
今日やったZ会センター試験ファイナル演習問題で用いられていた小説なんですが、抜粋されていたところの文章に妙に引き込まれたので帰りの足で丸善へ寄って買ってしまいました。
でもって帰ったらその勢いのまま読破。
はぁ、自分の読むスピードの遅さにちょっとうんざり……。
200ページもないのに3時間近く掛かってしまうとか。うぅ。
それはさておき、読んでみてまず感じたこと。ノリで買ってアタリでした。
その予想問題の最初のところで、「次の場面は主人公昭三が、若者が集まるイベントに遭遇して云々」というリード文があったんですよ。
どんなイベントなんだろうなと、ちょっと楽しみにして読んでみると、コミケじゃん!
まあ、センター試験演習問題に「コミックマーケットに紛れ込んでしまって」とは書けないかw
流石に二十年前の小説と言うことで、古典(文語文)とも言い難く、今の小説とも言い難い、その真ん中あたりに位置する、時代の違和感を感じさせる小説でした。
ヒロインについては途中からからくりが概ね予想できたんですが、主人公のラストはちょっと意外でした。
ただ、まああれ以外の落としようもないのかなぁと。
この話の中では進歩と発展は本当に良いことなのか、想像ばかりが美しいモノなのか、現在私たちがリアルタイムに直面し続けている問題が描かれていると思います。
主人公の価値観が揺さぶられていくという、一昔前の小説の形なんでしょうかねぇ、ライトノベルとは根本的に違う(当たり前)展開で、逆に新鮮さも少々。
そして、病んだ主人公の考え方にどこか共感も覚える自分は、危惧を覚えるべきなのかそうでないのか。
悩む。
ちょっと、一回では読み切れなかった感じがあるので程なくもう一回読むと思います。
センターの休憩時間つぶしとかに適当かも……。