ジャンクガール・ジグ 1 あたしの飼い主

忙しい時期って、積ん読消化したくなるよね!
ということで、日日日アンダカ外伝みたいな位置づけにある新刊、ジャンクガール・ジグを今更読了。


物語は伊依がまだ子供ので滅作がご存命の頃の話。怪造学会執行部の執行部長を務めて「身の回りに降りかかる火の粉を振り払う」程度の能力を持つ空井滅作と、彼女の元に転がり込んだ怪造実験体の少女ジグ、あとは宇宙木ちゃんがトラブルを解決していくという連作短編形式の物語です。
日日日爽やかサイドとでもいいますか。アンダカの系列の物語はシリアスな空気やどうしようもなく壊れた大人がいて、世界があんまりにも救われない。そんな世界で自分たちの周りの幸せだけでも守ろうとして頑張って、そして結果として色々なことを変えていける人たちの物語なんですよね。
狂乱〜は結局チラリとしか読んでないし、他の作品もなのですが、うん、「蟲と眼球と〜」シリーズは駄目でアンダカがオッケーという僕の趣味のポイントはどうやらその辺りにある模様。

アンダカ〜ではお亡くなりになられていて殆ど語られることのない寂蓮院秘依さんが超絶ヤンデレ……むしろラブラブの出会いとかを知らない以上ヤン99:デレ1の新黄金比と言っても過言ではないくらいの病みッぷりを発揮していたり、寂蓮院の家で絶望的な状況に置かれている当時の伊依が滅作に対して一言一言ぐっさぐさだったりというあたり、アンダカ好きにとってはこれまで断片手kに詩歌語られていなかった出来事が知れて興味津々ですよ。
あとは……、勿論宇宙木ちゃんの滅作に対する態度とか、当然ニヨニヨせざるを得ないエスデレなわけであって……。
駄目だぁ、日日日に骨抜きにされるぅ。
って、そんなキャラ萌えの話ばかりではなくですね、相変わらず大人と子供のボーダーラインをバランス取りながら渡っていく日日日ワールドが展開されている、胸がじんわり熱くなる話でした。
一巻は、言わばジグが一人で立ち上がってちゃんと歩けるようになる話。ご主人様に言われるがままに無為に生きてきたジグが滅作に強引に助け出されて、自分が助けられたという意味を少しずつ知っていく。それは人と人との関係を見て勉強していく過程のようなものでした。
自分と爆川乱不との歪な主従関係。怪造生物《忠宙虫》と無城苛鈴との愛玩関係。自分は誰かに飼われなければ生きていけないのか。その疑問を感じることが第一歩。飼い主がいない状況でどうしたらいいのか、自分で考え出すことが第二歩目。そして歩き出した少女、彼女の飼い主は彼女自身であるからして、もう誰が彼女を見捨てたとしても自分自身は自分を見捨てることはない。
それはどんな孤独な状況に陥っても一人で立って歩けるという強さなんですね。
うん、そして、そんな娘っこの両脇には父親役の滅作と母親役の宇宙木ちゃんがついているわけで、今日は世界も概ね平和だ。そう言うお話。

読んでいる途中では全然意識しなかったんですが……、ジグって後の嫌凪なんでしょうね、というレビューを見て酷く納得。
そう言えば血のように赤い三つ編みって、嫌凪さんのトレードマークでした。
嫌凪の性格と今のジグの性格に差がありすぎるし、宇宙木ちゃんとの関係とかもアンダカ〜の世界でのそれとは酷くかけ離れているので、何らかの大きな出来事があったのでしょう(そして恐らくそれがジャンクガール・ジグの物語の結末となるのでしょうが)。
日日日ワールドに引き込まれてるなーって、思います。でも楽しみで仕方ないんですね。