アルマジロの歌声-The Armadillo's Song-

ボリビアの童話、The Armadillo's Songを和訳してみました。英文ソースはこちら
仮面ライダー電王に出てくるイマジン達は、契約者の持つ童話とか伝承とかのイメージを下に具現化する、とは言っても……、これはマイナーすぎないでしょうか。それとも僕が知らなかったのが無知なだけ?(低からぬ可能性)。 はたまた来週契約者とボリビアとの関係が明らかになるとか。
まあ、調べてみたら結構切なくて、心に残る話でした。英語も簡単だった上にどうやらあまり和訳もなかったようなので、和訳してみました。
余談ですが、電王公式サイトには「ザ・アルマジロズ・ソング」とありますがやっぱり「ジ・アルマジロズ・ソング」だとおもう。
さて、では追記にて。

アルマジロの歌声-The Armadillo's Song-

あるところに、音楽を何よりも愛するアルマジロがいました。


ある時、雨が何日も降り続くことがありました。雨が止んだ後、アルマジロは蛙が沢山住んでいる沼地まで甲羅を引きずって這っていき、そこで大きな緑の蛙がお互いに素晴らしい歌声で歌いあっているのを聴きました。
アルマジロは思いました。「ああ、僕も歌えたらなあ」
アルマジロは沼の縁まで這い寄って蛙たちを眺めていました。蛙たちはバレエを踊っているかのように飛んだり泳いだりしたかと思うと、お互いをミュージカルの歌の様な調子で呼び合ったりするのでした。アルマジロ蛙たちが歌うように喋るのを聴くのが好きになりましたが、蛙たちが何を言っているのかは分かりませんでした。
実は蛙たちはこの変わった動物が可哀想にも蛙と同じように歌いたいと願っていることをあざ笑っていたのです。「バカじゃないの、アルマジロが歌えるわけ無いじゃないか」蛙たちは歌い上げました。


ある日、コオロギの一家がアルマジロの住んでいる近くにやってきて巣を作りました。そして、アルマジロはコオロギたちが蛙たちに勝るとも劣らない陽気さで鳴き歌うのを聴いて驚きました。アルマジロはコオロギたちの巣の近くまで行き、昼も夜も彼らの歌を聴いていました。
アルマジロは溜息とともに呟きました。「ああ、僕も歌えたらなあ」
「バカじゃないの、アルマジロが歌えるわけ無いじゃないか」コオロギたちは甘い歌声で歌い上げました。
けれどもアルマジロはコオロギの言葉がわかりませんから、うっとりと溜息をついて彼をあざ笑う美しい歌声を聴いていたのでした。


またある日、今度は駕籠一杯のカナリアを連れた人間の男が歩いてきました。カナリアたちは駕籠の中を飛び回りながらさえずり、歌を歌っていました。カナリアたちの歌は蛙やコオロギの歌よりも綺麗で、アルマジロは夢中になってしまいました。アルマジロは短い足を必死で動かして男の持つ駕籠を追いかけて、カナリアたちが歌うのを聴いていました。
アルマジロはぼやきました。「ああ、僕も歌えたらなあ」
駕籠の中からは歌声にも似た忍び笑いが聞こえます。「バカじゃないの、アルマジロが歌えるわけないじゃないか」カナリアたちは羽ばたきながら歌い上げました。


可哀想なことに、アルマジロの足では男が歩くのに着いていくことは出来ませんでした。いつの間にか男を見失ったアルマジロは、偉大な魔法使いの家の前まで来ると疲れ果ててしまいました。アルマジロは自分がどこにいるかわかると、魔法使いにお願いをすることに決めました。
アルマジロは家の前に座っていた魔法使いにおどおどと話しかけました。「偉大な魔法使いさん、僕はどうしても蛙コオロギやカナリアみたいに歌いたいんです」
魔法使いの唇は驚きに開かれました。というのも彼も歌えるアルマジロなんて見たことがなかったからです。けれども、この小さな動物があまりに真剣だったので、彼はしゃがみ込んでアルマジロの目を覗き込んで言いました。
「小さなアルマジロさん、私には君を歌えるようにすることは出来る。けれど、歌えるようになるのは君の命と引き替えになる。それは流石に厭だろう?」
「それは、もし僕が死んだら僕は歌えるようになるっていうことですか?」アルマジロは驚いて訊ねました。
「そういうことになるね」魔法使いは答えました。
「なら、僕は今すぐにでも死にます! 歌えるようになる為ならなんだってします!」アルマジロは言いました。
魔法使いはアルマジロと何時間も話し合いをしました。というのも、魔法使いはこんなに可愛いアルマジロの命を奪いたくなかったからです。けれども、アルマジロがどうしてもというので、魔法使いはとうとうアルマジロを殺してしまいました。アルマジロを殺した後、魔法使いはその甲羅で楽器を作りました。そして、彼はその街で最も素晴らしい音楽家にその楽器を渡しました。


楽家は、時たま蛙たちが住んでいる沼へと行き、そこで楽器を奏でました。蛙たちは大きく目を見開き音楽家を見つめて言いました。「やあやあ、あのアルマジロが歌えるようになったのか!」


楽家は、時たまコオロギたちが住んでいる巣の近くまで行き、そこで楽器を奏でました。コオロギたちは大きく目を見開き音楽家を見つめて言いました。「やあやあ、あのアルマジロが歌えるようになったのか!」


また、音楽家カナリアを飼っている音楽家の友達の所へも行き、二人で一緒に楽器を奏でました。カナリアたちはそれを見て、羽根を羽ばたかせて驚いて言いました。「やあやあ、あのアルマジロが歌えるようになったのか!」


そうです。アルマジロはとうとう歌えるようになったのです。そして、彼の歌声はその土地で一番綺麗でした。けれども、世界の多くの素晴らしい音楽家達がそうであるように、彼もまた自分の歌声の為に自分自身の命を犠牲にしなければならなかったのでした。

下手な日本語ですいません。
余談ですが、これ、元サイトでは「恐い話」にカテゴライズされてます。……恐い話なのかなぁ?
ああ、因みにアルマジロがなった楽器っていうのはチャランゴという弦楽器だと思われます。参考:チャランゴ(Wikipedia)
The Armadillo's Songの英語ソース:
http://www.americanfolklore.net/folktales/bolivia.html