選挙権に関して思うところ

ざっと高校論題について資料を漁ってみた。とはいえ、インターネットソースだとどれもこれも言っていることはほぼ同じで、あまり役に立つ感じではない、ですね。
Webソースだと殆どが肯定論を展開していますね。
政治家のHPで実際にこれからの政策の宣伝として論じている場合なんかもあって、そんなのは勿論肯定論でしかないわけです。
もっとも、ディベートで決め手になるような明確な論拠があるモノは無い、と言う気がしましたね。
実際問題としてないでしょうけど、あったら嬉しいのが定量的資料。参政権の年齢を引き下げたとしてどれ位投票率の増加(或いは政治への関心とか)が上がるのかと言うのをビシッと示せる資料がないと、かなり説得力に欠ける空虚な議論になりかねませんね。
その一方で否定側はー、どうなるんでしょうかね。そもそも否定資料があるのか。探せばあるみたいですけど(20歳でも政治能力不足だと指摘する識者がいて本も出しているらしい)。
実際問題として、20歳の自分が生の視点で考えて、政治って遠い話で自分に参政能力があるとはとても思えないんですよね。
そもそもモラトリアムの延長が謳われている中で政治参加の年齢を引き下げるって言うのは或る意味矛盾してますよね。その辺りを突いたら、現実論としては否定側が強いような気がしますね。ディベートは実際に政策が進もうとしている方向とかは関係なく、その場の議論が基準で賛否が決まるわけですから。
逆に、「20歳の成人が今もって政治的関心が低いため、もっと早い段階から政治的関心を持たせるべく云々」という話で肯定側が切り返すことも出来るかもしれません。それはそれで強そう。
さて、自分でやるならどうするか……。
多分肯定側なら追加プランをつけるんじゃないでしょうか。炭素税論題の補助金みたいな感じで。
今回なら、初等中等教育機関での社会科教育を見直して、実際の政治参加に見合った教育を施す。同時に公民(政経)の時間を増やすこと。その辺りをプランとして付け加えるんじゃないですかね。
全体の流れを「若者の政治参加を促す」という流れに持って行く前提でならこういうプランは十分アリだと思います。第一、現実の政治として行う際にも必要不可欠な事だと思いますし。
18歳参政権とした場合一部の高校三年生にまで参政権が与えられるという事実と合わせ技で「若者の政治関心が高まる」というメリットを立てれば、まあ論題充当性も抑えられていると思うのですが。
重要性としては、よく言う「政治不均衡の是正」ですかね。これから少子高齢化社会がどんどん進むこと、それから年齢が上がるにつれて投票率が高まる事実なんかを踏まえると、世代間不均衡の是正は割と重要なことだと思います。言っちゃ悪いですが私だって老人の老後保障のためばかりに税金を搾り取られるのは(まだ学生ですから税金かかってないですけど将来のヴィジョンとして)、嫌ですから。現実問題として、政党が支持源である老人世代の気に入る政策ばかりするとなると、それは是正しなければならない不公平でしょう。
あとオモシロトピックとしては「政治改革」なんて重要性を立てても面白いかもしれませんね。半分は弾避けのダミートピック的意図も含めて。若者の政治関心が高まると言う点と合わせれば、上手く持って行けば政治基盤のシフトも言えなくはない。となると政党としても政治の方針は或る程度変えざるを得ないし、某自民党から某民主党政権交代が起こる可能性もゼロじゃない(民主党は若い人からの支持が多く、自民党は高齢者層からの支持が多い)。そう言う点を上手く、手短に立ててやれば、或いは懐刀として良い仕事をする可能性もありますね。
なんてことを考えてたら、ひょっとしたらこのテーマで行くとメリット・デメリット型立論で行くより時系列型立論で行った方が色々言いたいことを言えるのかも、と思ったりもしました。

否定側だとどうなんでしょう。
やっぱり18歳では政治能力が不足しているという点を突くことになるのだろうと思うのですが。その場合、じゃあ何歳ならOKなのかという議論になり、その命題は答えが存在しないだろう事は明白。ならどうするのか。乱暴なようだけれど、現行20歳でさえ不十分という論展開にしてしまえばいいのだと思います。20代前半の投票率の低さを指摘して、20歳でさえこれだけ投票率が低いのだからこれ以上引き下げたところで無意味、とばっさり切ってしまう。この議論は多分肯定側と表裏一体になる事が多い議論だろうからものすごく白熱する事が予想される。要するに「20歳で低いから無駄」なのか「20歳で低いから改善しなきゃならない」のか。議論展開次第じゃ肯定側第二反駁で後者の主張をずばっと決められて圧倒的な勝負になりかねないわけですが。
補強論としては、海外で選挙権引き下げが行われた時の状況と現在の日本の状況を対比してみる議論なんかを持ち出しても面白いかもしれない。海外で選挙権が引き下げられた背景には学生運動の高まりがあったことはちょっと調べれば分かることなんですが、今の日本では勿論学生運動なんて影も形もない。それどころか、大学全入時代の到来や大学院進学率の高まりなどを考えると確実にモラトリアムは拡大している(良い意味で。文化面での拡大は政治無関心=だからこそ改善しなければいけないという論に繋がる為、否定側から出すべきではない)。だから選挙権を引き上げろとまでは言わないまでも、まだまだ勉強途上の非社会人の年齢が向上していく中で、低年齢からの社会参入を促す選挙権年齢の引き下げを行うことは、どちらかというと実情にあっていないと言えるでしょう。
まあこの論は実は「参政」を政治教育に生かすという論を持ち出せば下手すればターンアラウンドものなのですが……。

まあ、いずれにしても物量問題に容易に持ち込めない以上、いつもよりも第二反駁のウェイトが高い論題になるような気が、こっそりとしています。
上手く価値比較に持って行けるのか。それとも相手の議論を吸収してしまうような鮮やかなまとめが観られるのか。
ジャッジ以前に元ディベーターとして楽しみで仕方がありませんね。
あー、これ考え出したら多分この一週間自分で色々プランやメリットデメリット考え出しちゃうんだろうなー……。