恋愛写真−もう一つの物語

恋愛写真―もうひとつの物語

映画の「ただ、君を愛してる」を見た後何の迷いもなく購入♪
あれだけ感動したんだから、きっと原作も良いんだろうと考えてたけど、予想通り、いや、予想以上に良かったです。
映画に比べていささか静流が終始大人で、あと誠人が淡々としているかなという感じはしたけれど、やはり感動したのに違いはありません。
小説の方が若干「小説」であって「お話」である、というのは病気の設定などからも伺えるのですが、それがむしろ良い感じに働いている気がしました。
小説と割り切れるからこそより一層感情移入できるというか。
やはり映画では描写しきれない感情の揺れ動きや細やかな方向性などが小説で文字として表現されていて、今映画を見たらもっと違う見方が出来るのかな、と思います。
丁度僕の中では映画と小説の良いところがミックスされて、一番良い形で記憶に残ってる感じ。
やはり宮崎あおいの、子供っぽい(というか宇宙人的でさえある)静流の演技は凄かったと思うし。


今すぐ読み返す、ということはないけど(今は読みたい本が沢山あるし)、もしこの本を読み返すなら、僕はキスのシーン以降をめくる勇気はあるのかな?
そんなことを考えてしまいました。
ちょびちょび読んでて、まさにキスのシーンのちょっと前で、一番幸せな時間を誠人が感じているところで読むのを一回中断してるから、かな。
あまりに哀しい結末があまりに温かい雰囲気のすぐ後に来るから、ソレを知っていてなお読むことが出来るかな、と、疑うくらいには自信がない。
映画だと問答無用で話は進んでいった。静流が湖を見ているシーンの後は「さようなら、今までありがとね」のメッセージが来るのを止めることは出来ないわけで、それが映画というものだから(いや、映画館を出て行けば良いと言えばそうなんだが)。
けれど小説ならそこで読むのを止めることは容易い。幸せなまま終わるのは容易い。
そうしたいけど、でもソレは小説の読み方としてどうなんだろう……、なんてことを考えてしまう。