戦鬼



本書はロリコン鬼が復讐に燃える話……、の様な感じです。時代考証をしたら結構ピタリなんでしょうけれど、やはりヒロイン11歳、主人公17歳ではちょっと年齢的にそぐわない感じが。
そんな些事は置いておいて、解説の評の通り構成が秀逸で、どんどんページをめくってしまうテンポの良さもあり、気がついたら物語の半月あまりを通り過ぎていたような気がします。
出した要素は全て拾い上げるまとまりの良さ、そして繋げ方の意外性、油断して読んでいたら意表を突かれてとても面白かったです。
ところで温羅という鬼、僕の地元岡山ではとても馴染みのあるもので、八月には「うらじゃ祭り」という温羅をたたえる祭りもあるほどなのです。何故そんな祭りがあるのか。それは、やはり鬼(この場合は渡来人と思われますが)と土着民族の関係はやはり桃太郎伝説のようにギスギスしたものではなく、ギブアンドテイクの共生関係だったからなのでしょう。
時の政権によって歪められてしまった真実の歴史がこの物語と違った保証なんてどこにもないんですから。