デルフィニア戦記

放浪の戦士〈1〉―デルフィニア戦記 第1部 (中公文庫)
茅田砂胡によるデルフィニア戦記第一部 放浪の戦士1。
何と言うか、すごいの一言に尽きる。
名称未定の例会で知り合った1回生の友人に教えてもらった作品なのだが、何故今まで知らなかったのかということが悔やまれさえする。
王が国を追われ、王座を奪還する為に味方を増やしながら戦っていく、という言ってみれば珍しくない構成の話である。
封建制の浸透している世界で官僚や王、というとどこか小野不由美十二国記を彷彿とさせる。
だが無論異なっている。
プロローグに当たる部分ではモノローグのような心理描写から始まり、一体何が始まるというのか全く読めない。
そしていざ物語が始まってみると若い男が襲われている場面から始まるのである。
関係ないような場面が花畑という何気ない点でリンクする。
そして話は異世界からきた少年(体は少女)と国を逐われた王が戦うという方向へ転がり始める。
持って行き方が巧妙である。
また、異世界からやってきた少女リィや、主人公ウォルの何とも言えない爽快さと、一方の私欲に駆られた貴族達の陰険さの強烈な対比も面白い。
全体の雰囲気としてはライトノベルの古典、ちょうどポケモンの元祖赤緑をやるような感じに、面白いながらもどこか他とは決定的に違うという感じを受ける。
いずれにせよ面白いのに間違いはない。
早く続きを読みたい一冊である。