飛べるペンギンは只の鳥だぁ!

イワトビペンギン
先日、とある場所で友人Nが友人Rをからかって曰く「ペンギンは空を飛んで南極から北極へ渡るんだぞ」
友人R曰く「えぇ、本当!?」
いや、信じるんですか!?
しかし、真顔で言われると信じてしまいそうにも成るわけで……、と思っていたところ、脇でその様子を見ていた人に「南極から北極は嘘だけど、イワトビペンギンは本当に飛ぶよ」と言われました。
マジですか!?
嘘には聞こえないながら、本当にも聞こえない……、と言うか流石に信じがたい。
どれくらいのレベルで「飛ぶ」のかがね。本当に「渡り鳥」的に上空数メートルをFlyするのか(揚力で飛んでるのか)ってトコがね。
てなワケでちょっと調べてみました。

イワトビペンギン。英語ではRockhopper。
コウノトリ目>コウノトリ亜目>コウノトリ下目>コウノトリ小目>ミズナギドリ上科>ペンギン科>マカロニペンギン属>イワトビペンギン
マカロニー!ってそこは問題ではなく……。
いや、やっぱりこの羽根で飛ぶってのはあり得ない気が……。
うん、ではもっと調べてみましょう。

イワトビペンギンは繁殖期とその他の時期で生息地域が異なる、つまり「渡り鳥」の性質を持っているようです。

成鳥は4、5月から10月にかけて繁殖地を離れて外洋で生活する。10月-11月になると繁殖地に戻ってくるが、北方の個体群は7月に戻ってくる。 Wikipedia

う〜ん、これだけではどう渡るのかよく判らない。
しかしながら、「飛ぶ」ということに触れられてもいないぞ。
やっぱり「飛ぶ」ペンギンがいるなら、それって超特殊だし、特別に言及してもいい気がする。
さらにはこんなことも。

地上では他のペンギンのようによちよちと歩かず、両足を揃えて飛び跳ねながら移動する。和名の「イワトビペンギン」、英名"Rockhopper Penguin"ともこの様子に由来する。Wikipedia

う〜ん、やっぱり「跳ぶ(Jump)」であって、「飛ぶ(Fly)」ではない気がするなぁ。
よし、「イワトビペンギン 飛ぶ」でぐぐってみよう。
650件結果が出て、ざーっと見回してみましたが、やっぱり「空を飛ぶ」ってのは無いように見えます。
旭川動物園には水中トンネル水槽があって、「ペンギンが空を飛んでる」用に見えるところが亜るっぽいですが。
あと気になったのは「トビウオ的に飛ぶ」ことはある、位でしょうか。
でも、それってやっぱり……。
トビウオは「空を飛んでるか」っていうと「長く跳ねてる」って言う方が適切だし(少なくともyoshikemはそう思う)。
少なくとも、空中に於いて意識的に高さを調節できないわけですよ。
それは自由に空を飛ぶと言うのとは違うでしょう。
そんなのを見てると、なんか良いことを言ってるページを発見。

ペンギンは海中でこそ、その身体能力をいかんなく発揮し、華麗に「飛翔」します。{中略}
空中ではなく、海中を飛ぶことを選んだ鳥。それがペンギンなのです。これは白鳥にも鷹にも真似できない、ペンギンの特権です。鳥という枠にすらとらわれない、自由な鳥 ペンギン。
単に「とべない」ではなく「空を飛ばない」、つまり「どう飛ぶか」だけではなく「どこを飛ぶか」も問題なのだ
IFaS Homepage

う〜ん、なかなか。
閑話休題、飛ぶか飛ばないか。
え〜い、力学的に解明してやる。



と言うわけで揚力の計算方法など探し求めてネットサーフ。
けっか、とりあえず揚力とは次の式で表されるらしい。
\Large L = \frac{1}{2} C_L {\rho} V^2 S
よくわからん。
なんか、無次元で表すことによって単位を変えても自由に使えるようにしてあるらしいんだけど、これで、重力とどう釣り合わせば良いのかがいまいちよく判らない。
そこで、さらに探す。
すると、こんなページに行き当たった。
鳥人間コンテスト「フォーミュラクラス、設計のコツ」
で、そこでもやっぱり上の式が紹介されてたんですが、鳥人間コンテストの翼だと大体
\large C_L = 1.6と近似できて、なんか、そこで計算すると離陸時の失速速度が簡単に計算できるそうです。
その失速速度が、7 m/s以下だと上手く離陸できるみたいなことが書いてありました。
力学的に飛べるペンギンの図。実際に絵にしてみた。あり得ない。クリックすると拡大♪

その時に落下速度vは近似的に
\large v = \sqrt{\frac {10 m}{S}}で表されるみたいです。
そこで\large 7 \geq v = \sqrt{\frac {10 m}{S}}
で、イワトビペンギンの重さを約3kgとして計算してみます。すると\large S \geq \frac {30}{49} \gt 0.6 m^2と言う数字が出てきました。
ってことは、片方の翼で0.3m^2以上の広さが必要なわけで……、イワトビペンギンの翼を幅10cmと見積もると、長さ……\Large 3m
う〜ん、流石になさそうですよねぇ。(右図)
じゃあ、じゃあ、翼の長さを約30cmと見積もると、翼の幅は\Large 1m。やっぱりあり得ないことになります。(再び右図)
力学的に飛べるペンギンの図2。小林幸子みたいなバランス……、コレも意味不明。クリックすると拡大♪
結論、やっぱりイワトビペンギンは力学的に飛べそうにないです。
むしろ、飛べるペンギンは只の鳥ですらなかった。うん、このバランスは。
大雑把な計算だし、誤差は十二分にあるだろうけど、面白い結果が出たなぁ。
って、長いエントリだなぁ。