白王烈紀

天の獣に王なる翼を―白王烈紀 (富士見ファンタジア文庫)
「天の獣に王なる翼を - 白王烈紀」を読みました。
富士見ファンタジアの新人作家諸星崇のデビュー作ですね。
う〜ん、まあ、中の上と言った感じですかねぇ。
面白いのは面白かったです。
動物を僕として体の一部に宿すという設定も独特ですし、最後に出てくる「白凰天」が体全体を代償に出現する、というのも非常に面白い設定だと思いました。
ただ、途中作りが甘いんでは、と思う箇所も何カ所か。
例えば、話の中でトワは力を隠し、存在を伏せているという設定のハズなのに、主人公テンケイが風呂に投げ飛ばされた時(実質のぞき行為をしたとき)、惜しみなく力を使っちゃってます。
その時サナ、テンケイ両名ともトワが力を使うというのを見てしまっているはずなのに、あとでは全くそれがなかったかのような描写になってしまっています。
シンセイハッコウテンの「天の煌めきは千の黄昏を喰らう」という伝承も、「白凰天」の場合は確かにぐっとストーリーに重みを持ってのしかかってますけど、主人公の師匠の場合、つまり龍焔天の場合はどうなってるのか全然わかりません。
師匠は、少なくとも三年で死ぬとか言う様子はないです。
と言う辺り、結構突っ込みどころもあるのですが、読んでいて面白い展開であるのは事実です。
もっと細かく作り込んだらもっと面白くなるんじゃないのかなぁ、と思った作品ですね。
主人公の背景なんかも、でもちょっと甘いかも。
何の事情があって命を縮めてまで強い力を得ているのかとか全然わかりませんし……。
読んだ限りでは全然意図が読めない……。
まあ、それはそれで良し。