野依良治先生の講演会

ラッキーと言うべきか、野依良治先生の講演会に行く機会がありました。
岡山理科大学開学40執念記念事業の一環で高校生や大学生対象の「21世紀を担う若い世代へ」という題目の講演会が、なんとロハで。
ウチの高校からは生徒が四人、先生が一人。生徒は全員受験生。ちょっと愉快な状況。
1,2年生は何をやってるんだろうと思いつつも、高校は高校で同窓会の交流イベントがあって、忙しい生徒も(特に管弦楽部とか)多いんだろうなぁ、と思いつつ、さらに岡山大学の大学祭なんかもあったりしたのでそっちに遊びに行ってるヤツ多いのかなぁ、と学問と娯楽の天秤に若干の憂慮をもつ。
と、平易でない日本語をだらだらと書き連ねましたが、ここからは純粋に講演会の感想的なことをまじめに書きます。
講演会は二部構成で、前半は野依先生の講演、後半は高校生4人と岡山理科大の学生、院生を一人ずつ加えたパネル討論会という形式でした。
前半では前述の通り「21世紀を担う若い世代へ」という題目での講演で、勿論ノーベル賞の不斉合成のお話もあったのですが、メインは勿論科学の未来に関してでした。
20世紀は「競争の世紀」と言われるような開発、闘争の世紀で、様々な技術が開発されてめざましい発展が起こった一方では、負の側面も大きくクローズアップされたモノです。
核、戦争、温暖化etc...
そういう時代から脱却して、21世紀は協調の世紀にしなければならない。
その為には、科学技術の正しい運用、ひいては科学技術を運用するために全国民がきちんとした知識を身につける必要があると言うことでした。
例えば石油は大体60〜70$/Bですが、そこには環境保全費や軍事費など様々な費用が上乗せされています。
そう言うことを誰も知らない、とこれはまずいことだと。

大体そう言う話ではあったんですが、納得する面が大いにあると同時に、今まで身を浸してきた科学文明に対して若干の恐ろしさも感じましたね。
いつまで頼っていられるのだろうか、と言う恐怖を。
講演の中で、先生は文明崩壊への対策が今全くない、と言うことも何度か強調されてました。
確かに、文明が崩壊してしまうとこうしてblogを書くことも出来なくなるんですから……。
対策、と言われても具体的には何も出来ない、と言うのが自分の現状です。
かといって文明崩壊対策を専攻する、と言う気にはなりませんが。
ただ、科学の知識だけは充実させておく必要性を大きく感じました。

後半はパネル討論会、とは言っても殆ど質疑応答でした。
僕としてはもう少し議論になることを期待していたんですが、パネルディスカッションですらなく、司会者がいて、学生代表が質問して、野依先生がそれに答えると言う流れになっていました。
質問自体も只答えるだけで終わる、野依先生への単純な質問というモノが殆どだったんで仕方がないとも言えたわけですが。
いくつかは議論に発展しそうな質問もあったんで、期待が膨らむ瞬間もありましたが、まあ、大学者と学生でしかもああ言う場となると仕方ないかなぁと言う気もしましたね。

とにもかくにも、理系で身を立てようと志す自分にとっては、将来を考える上で一つの大きな道しるべとなる講演会だったと思います。