量産型はダテじゃない!

量産型はダテじゃない! (富士見ファンタジア文庫)

量産型はダテじゃない! (富士見ファンタジア文庫)

去年の秋の本ですけど、まあ勘弁。
ファンタジア長編小説大賞準入選作の「量産型はダテじゃない!」です。
この一つ前の準入選は「太陽戦士サンササン」でしたが、なんていうか、準入選って言うのはそう言う勢いとか熱血とかが選ばれる賞なんですかね?
語り聞かせられているような文体で書かれる話は、文章のまとまりとか技術とかそう言ったものからは遠いような気がするんですが、不思議と引き込まれる臨場感があります。
まさにラノベの典型という感じの、読みやすさと勢いなら何にも負けないという感じの小説。
近年ラノベに箔がついてきて段々肩身が狭くなってきたタイプのような気がしますが、僕はこういうの好きです。
来月か今月かに続刊が出るはずなので、そちらもチェックしてみようかと。気になる伏線もありますしね。

主人公はローティーンにして大学飛び級卒業の天才工学者であるヘキサ・デュアルアンという少女。それから彼女が砂漠で偶然出会ったUD(アルティメット・ドール、戦闘用人型ロボット)のナンブ君。
なんというか、ナンブが非常に不器用で間抜けで、それでいて熱いんですよね。
何かとあればヘキサに鈍感そのものと言った態度をとってしまい、けちょんけちょんにけなされる。
けれど、護るといった誓いは果たす。その為なら時代遅れのボディに根性という燃料を走らせて、限界も突破してみせる。
さあ、火を噴け、主砲サブマシンガン
 カン、カン、カン(勿論弾かれる音)
やっぱり駄目なんですが。旧式は旧式。量産型は量産型。低スペックが売り。そんなロボが活躍できるほど世の中は甘くない。
甘くない、筈だったのですが……というお話。
いや、それだけ言ってるとものすごく明るい話のように見えますが、常に死と隣り合わせの危険すれすれなストーリー展開に、不意打ちで現れる緊張感たっぷりの演出。見ているこっちははらはらですよ。
そう言う意味で、これから非常に楽しみでもあるんですよね。