結局中二病でも恋がしたいは何が残念だったのかねっていうお話2〜凸守＆五月七日編〜
せっかくなので昨日の勢いに乗せてこういうタイトルで記事を書こうと思います．
最終話の凸守可愛ええええええ！！
くみん先輩と一緒にシエスタ出来ればそれでいい！！
という人は続きを読まないことを推奨します．
『極東魔術昼寝結社の夏』とはなんだったのか
さて，先日の記事
http://d.hatena.ne.jp/yoshikem/20121231/1356947183
でまとめた通り，結局のところ『極東魔術昼寝結社の夏』という部活さえもアニメオリジナル要素であり，はじめに結論を述べてしまうと，中二病でも恋がしたいのアニメオリジナル要素はそのほとんどが原作の良さを殺す方向にしか作用していません．
つまるところ，アニメオリジナルの同好会と，その同好会に所属することが第一の存在意義である（と私が思っている）凸守とくみん先輩は，原作のも強さを殺す方向に話を混迷化させていると，そう思います．
その理由を少し整理したいかなと思います．
凸守早苗とはなんだったのか
皆さんご存知ミョルニルハンマー．最終話では一瞬脱中二病を見せ，そのたぐい稀なる美少女っぷりでアニメ視聴者を狂乱の渦に巻き込んでいった学年主席の天才中学生（しかもどうも裏設定でいい家のお嬢さん）ですね．
おっけー，こいつが物語中で何をやったかを整理してみましょう．
- ３〜４話．六花の召喚に応えて『極東魔術昼寝結社の夏』への加入，六花に対して全面肯定する「サーヴァント」としての存在感を発揮し，第二の中二病少女として視聴者への印象を確たるものとする
- 4~5話．マビノギオン（写本）の所持者として丹生谷との因縁が生まれる．ま さ に 久 遠 の 因 縁
- ６話．六花のサーヴァントとして「マスターSUGEEEEEEEEEEE」
- ７〜８話．丹 生 谷 と 遊 ん で る だ け．
- ９話．恋愛相談される役．中学生に恋愛相談する六花ちゃんに触れてはいけない．
- 10話．恋愛に目覚めたマスターにちょい引きしつつも，文化祭で丹生谷と遊んでる．
- 11話．脱中二した六花ちゃんにちょっかいかけるも暖簾に腕押し．挙句勇太に泣きつく．
- 12話．脱皮して第二形態で視聴者の度肝を抜く．実家の車を運転手に運転させて丹生谷以下『極東魔術昼寝結社の夏』の面々を六花の実家に連れて行く
そんなとこですかね．
結局何が起きたかって言うと，六花に召喚された→丹生谷と友だちになった→六花が中二病をやめて一瞬心が折れかけた→でもやっぱり中二病でいたい！
って感じですかねえ．
アニメ版中二病でも恋がしたいの大枠構成として，一周回って元の位置に戻ってくる（というか終盤のシリアス展開が，一瞬のキャラのブレを誘発してるに過ぎない）という構造を持っているのですが，多分にもれない感じです．
おそらく凸守に対して物語役割論的に期待される役どころというのは，第二の中二病患者として六花と対峙できる存在です．
おそらく凸守の存在は，原作2巻で七宮と六花がやってる中二病バトルをアニメで面白く見せたい，かつ，物語序盤から出したい，という理由から出されたキャラなのではないでしょうか．原作に忠実に進めていくなら七宮vs六花の中二病妄想バトルは物語後半にしか出て来ませんよ．なるほど，それを出すためには早めに凸守を出して凸守vs六花で遊んでるのを出すのは面白かったのかもしれない．
でもそれって，原作の流れに沿って勇太vs六花でやってもいいよねっていう程度の話．
物語中では凸守はそのほとんどの場面で「六花と一緒に中二病発言して」るだけで，「イタいのは六花一人じゃない」という演出になる程度しか意味がないんですよね．
強いて言うなら，11話で中二病をやめた六花に突っかかっていって「なんでですか！！」みたいなことを言うのは役どころとして少しいい味出してたんですが……そこだけのために（そもそも話の流れとして無理に六花が中二病をやめる必要があったか僕は疑問）キャラ一人作って，途中で個別回も作らずにダラダラ同伴させる必要があったかというと……．
むしろ，六花と一緒に中二病奇行を行う凸守というキャラを作り，その二人を物語の中心から離れた場所に行かせる（4話の丹生谷来訪時），あるいはそもそも，年下の子分を作って中二病としてなんか満足してる六花という構図を作って彼女の認識している社会をものすごく狭いものに落としこんでしまっていること．これは中二病でも恋がしたいという物語における六花のキャラをものすご〜く「マズい」ものにしてしまったのではないかと思います．
要するに，
- No凸守→六花は痛い子だけど勇太（with若干の恋心）とコミュニケーションする中で少しずつ社会に馴染んでいくべきかもしれないという気持ちを抱く事が可能
- with凸守→六花と凸守二人で楽しけりゃいーじゃん（いいじゃん）
しかもこの話の落とし所がひどいのは，凸守は友達が少なくないという事実．彼女は勉強できるからクラスの人気者．なお，六花はぼ（ｒｙ
このサーヴァントが圧倒的勝ち組になってる構図は，今回の1クール程度の物語では大した問題にならなかったけど，物語が伸びてくればすんげーめんどくさい問題がいっぱい出てくる設定ですよ．てか自分がシナリオ書くなら途中でどっか凸守がクラスメイトと遊びにいって六花がぼっちになる話やりたいですね．ええ，ぜひ．
そういうのもラノベとしてはありですけど！ でも原作無視のアニオリキャラでそういうのをやるのってどうなん……？（しかもそういう要素を回収する気がない）
最後に勇太が六花を迎えに行く契機を与えたのは確かに凸守ですが，しかし本当に必要だったかというとよくわかんない．多分凸がいてもいなくても勇太は真の契約者として六花を迎えに行ったんじゃないですかね．むしろそうあって欲しい．それくらい強い恋心を持っていてもらいたい．そうなると，凸守っていらないんじゃない？ って．個別フィーチャー回があったわけでもない，物語における役割も薄い，オリキャラ．それってもはやモブじゃん？
くみん先輩とはなんだったのか
ほんとになんだったのか．
『極東魔術昼寝結社の夏』のいち員として勇太たちに付き合って色々遊んでたけど，この先輩こそ本当になんなんだよ！！ 特に12話の邪王真眼継承の下りとかほんと意味わかんねーよ！！
と言いたくなるくらいくみん先輩ってかわいいだけのキャラでしたね．
そこに尽きると思いますよ．
役割論として考えるなら，
つまりそういうことでして，この3つ目の風鈴ちゃんがやってた立ち位置に収まるとキャラクターの役割論としてすっきりする，そんな立ち位置がくみん先輩に期待されるところじゃなかったのかなと．
最終話では六花の通訳として勇太を諭す立場になるわけですが，それより六花と本当に周囲にいるクラスメイトたちをつなぐ立場がいなくなってくみん先輩が大きく取り上げられる（ただし個別回はない）というのは，キャラの役割としてバランスが悪いんだと思うのですよ．
で，クラスメイトの風鈴ちゃんout 『極東魔術昼寝結社の夏』の活動以外何やってるのかわからないくみん先輩in で起きた弊害はと言いますと，六花ちゃんが完全に社会生活不適合者の烙印を押されたということじゃないでしょうかね．『極東魔術昼寝結社の夏』のごくごく特殊で閉鎖的な環境の外には理解者がいない，という超特殊な状況を作り出し，強化したのが，くみん先輩の立ち位置だと思うんですよ．
それでいいのか物語？
ソフィアリング・SP・サターン7世とはなんだったのか
原作にいてアニメにいないキャラで一番重要なのがソフィアリング・SP・サターン7世こと七宮智音であり，だいぶ重要度は下がるものの二番手に巫部風鈴ちゃんがいると思うんですよ．
七宮はどういう立場かというと，勇太の中二病時代の理解者であり，師匠，彼女がいたから勇太は中二病になれた，そういう勇太にとって憧れの人物なんですよ．原作1巻で存在がほのめかされ，2巻ではメインキャラとして活躍します．
何をしたいキャラかというとすごくシンプルで，六花ちゃんの対極，邪王真眼と対等に戦うことのできる魔王ソフィアリング・SP・サターン7世ですよ．
このキャラが2巻に出てくることにより，六花という中二病患者の電波ちゃんが勇太の中でどういう立ち位置にくるのかが非常に明確化されます．
凸守みたいに完全追従ではない立場から，六花の存在意義を照らしだすわけですね．
対立軸を築いて2巻の締めが彼女との対決になるあたり，ライバルキャラとしてベタではあるもののいい味出してますよ．
凸守なんて要らんかったって感じで．
そしてそれと対比される一般人キャラ代表が，風鈴ちゃん．彼女は六花たちのクラスの六大変な名前の可愛い女の子（薊さん，小鳥遊さん，丹生谷さん，巫部さん，枚方さん，生天目さん）の中の一人なわけですよ．
物語中においては数少ない，学級王丹生谷と渡り合える強キャラ．
クラスメイトという強みと，謎の包容力で，六花と中二病に対して「？」ってなってるクラスメイトをつなぐ一言を出したりして，六花や勇太とクラスメイトをつなぐパイプとして結構重要な役割を果たしています．
